私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

本当は怖い働き方改革-4/18週刊ダイヤモンド特集

 4/18号の週刊ダイヤモンドを見ていましたら,「本当は怖い働き方改革」という特集がありました。興味深かったので,備忘録も兼ねて,メモを。

1 テレワークの拡大と新型リストラ

 もともと,オリンピックを期に,テレワークの導入が推進されていましたが,おおむね1月以降に新型コロナウイルスの問題で外出・密集しての業務が自粛されるようになり,大企業を中心に,加速度的にテレワークが広がっています。

 そうすると,勤怠管理,つまり出社しない社員の監視・監督をどうするのかという問題が生じます。たとえば,「MeeCap」というソフトウエアは,キーボードやマウスの操作内容を全て記録し,集積したデータを分析できるそうです。こうしたソフトを利用して勤怠管理が進むと,「出社しているだけで仕事をしていなかった人」があぶり出され,「出社の有無にかかわらず成果を上げている人が評価される」ということになっていきます。勤怠管理ツールは,人事評価ツールにもなり得るわけですね。

 記事では,問題の指摘で終わっていますが,じゃあ,そんな簡単に解雇できるのかと言えば,日本の法制では,成績不良による解雇はかなり難しいですので,どのようにして指導するのか,どのゆうにして仕事に専念してもらうのか,リストラの前にこうした社内のコミュニケーションをどうするかが課題になるような気がします。仮に,本当に解雇も考えるのであれば,成績不良の立証は難しいですから,どのように証拠を積み上げるのか,解雇のためにどのような手順を踏むのかなども問題になっていくような気がしますね。

 なお,弁護士は,そもそも日常的にテレワークをしているような感覚ですが,事務職員は事務所に出てきて電話を取るというのが今でも一般的な意識のように思います。事務職員のテレワークについては,今後弁護士も考えていかないといけない課題のように思いました。

 記事では,「MeeCap」のほか,スマートフォンの位置情報を把握し,どこにいてもバレてしまう「cyzen」,在籍確認のためにランダムにPC画面を撮影し,PCで仕事をしていないとすぐバレてしまう「FChair+」,実は勤怠管理から業務評価まで機能をフル活用できる「Microsoft」などが紹介されており,今後のテレワークを考える上の参考にしていきたいです。

2 残業代がなくなる

 残業がなくなるということはしごくまっとうなことですから,歓迎すべきと思いますが,残業代込みで生計を考えている方にとっては大打撃でしょう。今後,日本の企業全体で,給与体系について考え直していく必要もあるかもしれませんね。

3 残業代請求

 この部分の記事は,まじめに事件に取り組んでいる弁護士・社労士が大半だと思いますので,異論がありましたが,実際にそのようなことをしている事務所もあるのかなと思いました。記事によると,トラック運転手など,類型的に残業代が出やすい業種を対象に広告を打って集客し,残業代をしっかり計算せずに本来請求できる半額等の低額で請求をして早期に示談をまとめるといったビジネスモデルが出てきているそうです。労働法改正により,残業代請求の時効が2年から3年に延び,そのうち5年にまで伸びるかもしれませんので,商機拡大かといったニュアンスの記事でした。

 残業代請求は,経験上,労働時間の認定に相当の労力がかかりますが,安易な示談で依頼者の権利が守られているのか疑問であるとすれば問題です。自身の戒めにしたいと思います。

 経験上,トラックの運転手,美容師,勤務医などにおいて,類型的に長時間残業が問題になりやすいと思います。ご依頼があった際には,引き続きしっかり事実関係を確認し,適切な残業代を算定し,その上で交渉にあたっていきたいと思います。

4 残業時間の上限規制

 改正法の残業時間規制は,36協定を結んでいても時間外労働の上限は月45時間,年360時間までとなっており,これを超えた場合には罰則が設けられています。  長時間労働の抑止を意図するのであろう今回の改正を受け,労基署は,外国人労働者がいる現場&自動車運転車がいる現場を重点ターゲットにするのでは,という趣旨の分析がされています。技能実習生の多い製造業,建設業,そして運送業などについては要注意としています。

5 同一労働同一賃金

 使用者側の弁護士としてよくお見掛けします向井蘭先生のコメントなどを紹介しての記事。正社員と非正社員との待遇差を設ける場合,その説明を果たすことが重要ですが,例を示して詳しく記事が書かれています。

 しかし,【基本給】【賞与】【退職金】「言い訳マニュアル」,【食事】【皆勤】【家族】【住宅】手当の「言い訳マニュアル」という言い回しはどうなんでしょうね。こういった示し方の方が興味を引いて売れるのでしょうか。


ブロガー: 弁護士西村幸太郎

豊前の弁護士です。