私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

身体拘束ゼロを目指すために

平成30年8月17日,@ウェルとばたにて,2018年度夏の権利擁護研修が開催されました。この研修は,概略,北九州弁護士会もかかわり(なかでも高齢者障害者委員会が中心になって行う),福祉関係者とともに,丸1日かけて,虐待に関する研修を行うというものです。私も,毎年,参加させていただいております。多数の参加者がおり,午後のバズセッションでは,用意された事例に関し,活発な議論,意見の交換がなされていました。

午前中は,講演形式の研修でした。弁護士サイドでは,「身体拘束ゼロを目指すために」と題して,虐待の5類型のなかでも身体的虐待,そのなかでも身体拘束の問題を取り扱う講演を行いました(私は聴講していただけです。発表者の先生方は,お疲れさまでした。)。備忘も含め,内容を簡単に描いておきたいと思います。

安全確保のため,高齢者の身体拘束が必要な場合もあるのではないかという議論があります。しかし,安全を確保するには,むしろ,①転倒・転落を引き起こす原因の分析や,②事故を防止する環境づくりが大事。せん妄状態だから転倒などの事態が生じるのか?トイレに行きたい?何か物を取りたい?同一体位による身体的苦痛がある?不安や寂しさなどがある?対象者がどんな人で,どうしてそのような行動をしているかを考えれば,安全確保のための工夫ができるかもしれません。さらに,環境的な問題も大事です。ベッドの高さ,椅子の位置,床が滑らないか,物が届くところにあるかなどの物理的な環境や,対象者が用事を頼みやすいか,コミュニケーションがとりやすいかなどの人的な環境,チューブ類が目につく位置にあるか,薬剤による影響はないかなどの治療環境などに注意すると,安全確保の工夫のきっかけができるかもしれません。

人手不足は身体拘束の理由にはなりません。身体拘束をしなかったことのみで安全確保の措置を講じなかったと評価されるようなことはありませんし,逆に,身体拘束をしたことについての違法性が問われることは,十分に考えられます。身体拘束が許されるのは,「緊急やむを得ない場合」,すなわち,①切迫性,②非代替性,③一時性の要件が充たされたときのみ。最判H22.1.26は,当時80歳の女性が,入院中病院のベッドに不当に拘束され苦痛を受けたとして,病院に対し,損害賠償請求をした事案ですが,高裁と最高裁で身体拘束が許されるか否かの判断が別れました。現場の方がこれを判断するのは容易ではなく,基本的に身体拘束は許されないという態度でのぞむべきでしょう。

もし,万が一,身体拘束が避けられない場合は,手続面も注が必要です。個人で判断するのではなく,施設全体で判断すること。委員会等の設置がのぞましい。利用者や家族に十分に説明し,理解を求めること。利用者の状態を常時見守り,必要がなくなればすぐに身体拘束を解除すること。その態様及び時間,利用者の心身の状況,「緊急やむを得ない場合」と判断した理由等を記録すること。このような手続を踏んでいく必要があるでしょう。

身体拘束はあくまで例外的なもので,現場の人がどのような悩みを抱え,どのような場合に身体拘束が避けられず,それがやむを得ず行われるのか,身体拘束についてどのような態度でのぞむべきか,大変勉強になりました。

講演では,ユマニチュードやパーソン・センタード・ケアなど諸外国の取り組みについても報告がありました。私も,これから引き続き,勉強していきたいと思った内容でした。

私も,福祉にかかわる法曹として,今回の研修も参考にしながら,日々邁進していきたいと思います。

ブラック・トライアングル/虚像のトライアングル

損害保険会社,自賠責システムを担う国,裁判所。このトライアングルが,交通事故被害者にとってどう映るか。被害者側(請求側)弁護士の立場から,厳しく批判的な意見をしたためているのが,「ブラック・トライアングル」「虚像のトライアングル」です。

執筆しているのは,交通事故を専門的に扱っている弁護士法人サリュの代表弁護士です。谷清司弁護士は,もともと保険会社側の弁護士として活動し,その内情を熟知しており,その経験を生かして,今度は被害者側の弁護士として活動を続けているとのことです。弁護士過疎地で多様な事件処理をしていたというエピソードも,地方の弁護士としては,興味深く拝見しました。

治療費や休業損害の打ち切りの問題。意図を感じざるを得ない医師への照会や被害者への執拗な電話攻勢。示談代行の名のもとに保険会社主導で交渉が進んでしまう実態。後遺障害認定:12級ー14級ー非該当の境界の問題。障害者差別的な後遺障害の運用(既存障害の問題点)。保険会社顧問医による意見書がかかえる問題。素因減額にかかる問題。画一・硬直化した自賠責・任意保険会社の判断に従ってしまう裁判所。比較法的にみた交通賠償法務の後進国である日本…

実に多くの問題点に切り込んでおり,読みごたえがあります。特に,「虚像のトライアングル」に詳論されている,比較法的にみた日本の賠償法の分析は,大変勉強になりました。フランスの賠償法は進んでいるな,としみじみ感じたところです。フランスには交通事故賠償のための特別法が整備されており(日本は一般法である民法で処理し,せいぜい自賠法がある程度),そこでは保険会社に対し,被害者の権利に関する情報提供を義務付け,賠償案の提案期間は原則として事故から8か月以内にしなければならないとし,その間に症状固定に至らない場合もその時点で賠償前渡し金が支払われ,症状固定後5か月以内に最終の賠償提案をしなくてはならない,とされています。これらのルールを守らなかったり,明らかに不十分な賠償案であるのであれば,制裁が課されるなどするそうです。日本とはかなり異なるシステムになっています。

私も,被害者側(請求側)の担当をすることがよくありますが,制度自体のかかえる問題点,基準の問題点なども考えながら,目の前のご依頼者様のため,個別具体的に,被害救済に尽力していきたいと思いました。

スタンドアップ

セクシャルハラスメント-日本では,福岡セクシャルハラスメント事件において,晴野まゆみさんが,全国初のセクハラ訴訟を提起し,勝訴したことによって,広まったと言われています。平成元年1月には,流行語大賞にもなりました。

この事件において,弁護士は,外国ではすでにセクシュアルハラスメントという概念が広まっていたことを知ったといいます。では,そこでいう外国のリーディング・ケースとは?…映画「スタンドアップ」は,1984年にアメリカで初めてセクシュアルハラスメント(性的迫害)の集団訴訟を起こし,1998年に和解を勝ち取った女性の実話に基づいた衝撃作です。

【ネタバレ注意】 主人公は,レイプにより望まぬ出産を強いられた過去をもつ女性。息子にはそのことを話しておらず,衝突しながらも,大切に育てている。

生活の糧を得るため,鉱山で働くことになるが,そこでの労働環境は,ひどいものであった。入社前には妊娠していないかの検査をされ(妊娠している女性は働けないという意識のあらわれ?),入社初日に「医者に聞いたぞ。なかなかイイ体してるんだってな」とまで言われる。男性ばかりの職場で,女性職員は差別的な取り扱いを受け,汚物をまかれ,いつレイプされるか怯えながら過ごす…。相談しても聞き入れられず,「辞めるのを認めよう」と言われ,だれも助けてくれない,そんな毎日に耐えかねた主人公は,訴訟提起する決意をします。

彼女の望みは,きちんと仕事に就き,2人の子を育てていくことだけなのに。

訴訟では,主人公を悪者のように問い詰められ,必死に隠し通してきた過去を暴露される。同じく被害を受けているはずの同僚女性は,仕事を失い又は標的にされることをおそれ,嘘の供述をする。しかし,主人公の必死の訴えが奏功し,最後には,みなが立ち上がり(stand up),勝訴的和解を手にする,という物語です。

実話をベースにしているということですが,こんなことがわずか40年ほど前に起こっていたというのは,衝撃です。「言葉の暴力」などといったレベルではなく,明らかな迫害のように思えますが,女性の権利として声高に主張できるようになるまでの歴史の一端を見たような気がしました。

法廷でなされる主張も,セクハラの構造的な問題をよくあらわしているもののように感じます。たとえば,「本当に嫌ならば拒否しているはずだ」など,いまでもよくなされる主張ですが,本作でも声高に主張されていました(この点,最判H27/2/26にて,「被害者が明白な拒否の姿勢を示さなかったことを(加害者)に有利に斟酌することはできない。」とされています。)。

テーマは重く,楽しんで観れるというタイプのものではないですが,非常に考えさせられるものがあり,ドラマとしても見ごたえのあるものだったと思います。おすすめです。

許すな!パワー・ハラスメント

セクシュアル・ハラスメントは,英語圏で使われるれっきとした英熟語であり,アメリカ判例法も形成されてきたものです。一方,パワー・ハラスメントは,日本人によって英単語を組み合わせてつくられた造語です(弁護士になって初めて知りました。)。

バブルのころ。企業は目覚ましい発展を遂げ,労働者もその波に乗っていたといえます。ところが,バブルが崩壊し,リストラの波がおそいます。上司からのプレッシャーもきつくなってきます。メンタルヘルスのバランスを崩す社員が増え,社会問題化されました。そんななか,2003年,岡田康子著「許すな!パワー・ハラスメント」が出版されます。同氏は,「パワハラほっとライン」という電話相談を主宰する㈱クオレ・シー・キューブの代表取締役です。同氏が,パワハラの名付け親と言われており,本の出版から,徐々に言葉が浸透していき,いまではその言葉を知らない者はいないといってもよいでしょう。

その後,2012年,それまでの議論の蓄積を踏まえ,厚労省が,パワハラを再定義します。

2003年の本ですから,その後の議論は踏まえられていませんが,さすが原点ともいうべき,示唆に富む事例が多数掲載されています。電話相談の事例の蓄積をもとに記載されているため,説得力があります。「なぜ,この上司はパワハラをするのか」という背景事情,「もし,あなたがパワハラ被害に遭ったら」という対処法に至るまで,具体的に書いてあり,一読の価値ありです。

興味がある方は,ぜひ一読してみてください。

平成30年8月28日,ハラスメントに関する講演会のご依頼をいただいています。この機に,私自身が改めて学びなおし,身のある講演会にしていきたいです。

コンカッション

コンカッション。(脳)震盪などを意味する言葉です。同名のタイトルの映画(ウィル・スミス主演)では,ナショナル・フットボール・リーグの選手たちと慢性外傷性脳症との関連を発見した医師の実話に基づくドラマが展開されています。

オマル医師は,新進気鋭の医師・検視官。あるとき,アメフトを引退した花形選手の解剖に携わり,そこで,画像に映らない脳の病気を発見する。「慢性外傷性脳症」と名付けられることになるその病気を,アメフト界では全面否定。両者の壮絶な闘いが展開されます。

キツツキは,木に頭を打ち付けるようにしますが,生まれつき頭に緩衝装置が組み込まれているそうです。では,人間は?フットボールで,何度も頭を打ち付けますが,人間には元来緩衝装置がないというのです。そのため,脳にダメージが蓄積されていくというのです。死後の脳の病理学的検査でしか診断することができず,生存中,画像検査だけではわからないというおそろしさがあります。

映画の内容としては,実話をもとにしたというだけあって,必ずしもサクセスストーリー,ハッピーエンドというわけではなく,悲劇も織り交ざりながら,全体として重厚な物語に仕上がっていると感じました。

交通事故を扱う弁護士としては,「画像に映らない疾患がある」ということを改めて考えさせられます。自賠責(損保料率機構)において,後遺障害等級認定をするにあたっては,医師の診断と画像所見,神経学的所見が重視されますが,それだけでは拾いきれない疾患というのも,あるはずです。そのような症例にあたった場合,きちんと症状を把握し,場合によっては基準を乗り越え,適切な後遺症を獲得していく努力が必要だなあなどと,考えさせられたものでした。

そういう難しい話はおいておいても,大変勉強になる,退屈もしない,興味深い物語ですので,ぜひ1度鑑賞されてみてください。

クレイマー、クレイマー

随分昔ですが,初めて「クレイマー,クレイマー」を観た時。誰が悪いでもなく,みなが子どものためを思って動いているのに,どうしてこうなるんだ,とやるせない気持ちになったことを,鮮明に覚えています。

(以下,ネタバレも含みますので,ご注意ください。) この映画は,英題が,Kramer vs. Kramer とされているとおり,クレイマーさんとクレイマーさんの対決,つまりクレイマー夫婦の親権(法廷)闘争を描いたドラマです。仕事に没頭していた夫は,妻が突然7歳の子を置いて出て行ってしまったため,子どもとともに新たな生活を余儀なくされます。慣れない家事,育児に孤軍奮闘しながらも,できるだけ子どもを傷つけないように気を付けながら,しかしなかなか接し方がわからずに苦しむ父親像が描かれており,同じ父親として,感じるものがあります。子どもが,「僕が悪い子だったから,ママは出ていったの?」と父親に問うシーンは,夫婦の問題を超えた,子どもの複雑な心情が描かれており,涙なしでは見ることができません。親子でぶつかり,腹を割って話し合ってから,父子に親子としての絆が生まれてきたころ。母親が,「子どものことを愛している,1番大事なものに気が付いた」として,親権を主張。望まぬ親権(法廷)闘争に発展していきます。父親は敗訴しますが,意を決して上訴を諦め,母親に子どもを引き渡そうとしたところ。母親は,「あの子の家はここよ。」と言い,子どもを引き取ることなく,しかし母として子どもに会いにエレベーターに乗ったところで,物語は終わります。子の福祉というのがいかに多義的で難しいか,そんなことを考えさせられる内容でした。

私も,この映画を見るたびに,「私は弁護士として,依頼者の利益と,そして子どもの福祉を,適切に検討できているだろうか。」と自問自答せずにはいられません。私も人の子であり,親です。あるべき家族について,常に考えさせられています。

離婚事件に挑む弁護士として,こうした原点を忘れず,最善の解決を目指して,一所懸命に事件に取り組んでいきたいと思います。

工房よしかわ

園でブルーベリー狩りができる!(有)工房よしかわさんを訪ねてみました。7月~9月頃までブルーベリー狩りができるそうなので,準備の上,再度お尋ねします。猛暑が続きますので,少しおさまってからがよろしいですかね…

今日は,ひとまず店内を拝見。ブルベリーをふんだんに使ったケーキ,スムージー,パンケーキなど,メニューも豊富。お土産選びにもぴったりのお店です。体に優しい,ヨーグルトのお味が効いた味付けでした。

プレゼントとして,バジルとサルビアのセットをいただきました。妻もとても喜んでいます。

息子には,自然と触れ合いながら成長していってほしいと思いますから,こうした園は貴重ですね。ぜひまたおうかがいいたします。 enter image description here enter image description here enter image description here enter image description here enter image description here

巨大椅子

いま,豊前で話題になっている,巨大椅子を見に行きました。豊前市下河内にあります。

なんとなく,つくりたいから作った… 「森の学校」の方々が作ったものとのこと。

とにかくデカイ。これ,どうやって作ったのでしょうか。「インスタ映えする」と人気スポットになっているそうです。緑あふれる大地に,ぽつんと,しかし存在感をもって,そびえたっていましたね。

ファンタジーの世界に入り込んだような,不思議な気分を味わえますよ。豊前市の新しい観光スポットになりますね。いま,今度はテーブルをつくっているそうで,こちらも楽しみです。

ぜひご覧あれ。 enter image description here enter image description here enter image description here enter image description here enter image description here

割烹旅館 宇島汐湯

暑いですね。みなさま連休をいかがお過ごしでしょうか。

豊前市には,素敵な旅館が,複数あります。今日は,宇島汐湯について,紹介したいと思います。

宇島駅のすぐ近く,便利のよい場所にある割烹旅館です。うみてらす豊前もすぐ近く。私がよく利用させていただく,一休庵にもすぐに行けます。公園ができて,家族連れにも向いていますね。部活動などの団体での利用もされるようです。

外見よりも奥行きがあり,なかは広い。レトロな雰囲気のアンティークが用意され,個室も落ち着いた雰囲気でくつろげます。お掃除も行き届いていると思いました。

お風呂,お手洗い,洗面が共用になっているところは,好き嫌いがわかれるかもしれません。しかし,スタッフの方の配慮が行き届いており,気になりません。お風呂も,どっしりした温泉というわけではないですが,落ち着いて入れるきれいなお風呂でした。

ポイントは,なんといっても,お料理です。私は,鯛しゃぶをいただきましたが,絶品でした。写真の料理に加え,ラストに,だし汁を利用した雑炊もいただけました。

おすすめの旅館です。豊前にお越しの際は,ぜひ,よろしくお願いいたします。 enter image description here enter image description here enter image description here enter image description here enter image description here enter image description here enter image description here enter image description here enter image description here

遺産分割についてー1-

紛争性が高く,解決困難な事件類型として,遺産分割に関する問題が挙げられます。

遺産分割は,いくつもの法的論点がからみあい,遺産分割そのもののほかに,遺産分割の前提問題,遺産分割の付随問題があります。

遺産分割の付随問題とは,使途不明金・葬儀費用の負担・家賃・配当金・遺産管理費用・相続債務などに関する問題です。のちに述べるとおり,遺産分割そのものの問題ではありません。

なかでも,使途不明金は,付随問題とはいうものの,遺産分割4大論点と言われるほど,難しい問題です(ほかの3つは,①遺産の範囲,②特別受益,③寄与分。そして,④使途不明金というわけです。)。

さて,遺産分割というのは,弁護士にとっても,難しい問題だと書きました。整理しながら進めなければ,建設的な協議はできません。ここで,遺産分割調停においては,ある程度,進行の仕方が定まっていますので,これを参考にするとよいと思います。詳しくは,判例タイムズNo.1418「東京家庭裁判所家事第5分における遺産分割事件の運用」を参照されるとよいと思います。

①相続人の範囲,②遺産の範囲,及び③その評価を確定し,次いで,④各相続人の取得額(特別受益・寄与分の有無とその評価),⑤遺産の分割方法につき当事者の主張(意見)を整理することとし,各論点について対立点があるときはこれを調整して合意を形成する等して,段階的に手続を積み重ねていって,調停の成立又は審判による終局解決を目指しています(段階的進行モデル)。

手続選択についてですが,調停では,遺産探しは一切してくれませんので,最終的に,判明している遺産だけを対象にして調停し,判明していないものについては調停から外して処理するしかありません。仮に,遺産分割調停のなかで,遺産探し,使途不明金の問題が出てきたら,遺産範囲確定の問題(上記①の問題)として,多少の協議はできますが,まとまらないと,調停から外すとせざるを得ないわけです。使途不明金については,訴訟で解決となります。

遺産分割の対象となるのは,以下の5要件をすべて充たす場合です。

①相続により取得した遺産である。(遺産要件),②相続時に存在する。(遺産要件),③分割時にも存在する。(遺産分割対象要件),④未分割である。(遺産分割対象要件),⑤積極財産である。(遺産分割対象要件)

使途不明金としてよく問題となる,相続「後」の預金無断解約は,③の要件を満たさず,相続「前」の預金無断解約は,②を満たさないので,使途不明金問題は,遺産分割調停の対象にならないのです。この点は,よく間違われるため,注意が必要です。

私も,対立の激しい使途不明金問題を担当したことがあります。これに関する記事,遺産分割に関するより詳しい記事を,追って,いろいろと書いていきたいと思います。