私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

ご依頼者様からのお言葉

感激した出来事がありました。ご依頼者様の了解を得ましたので,ご紹介させていただきます。

なかなか大変な交通事故の案件を担当していたのですが,先般,無事に解決することが出来ました。ご依頼者様より感謝の言葉をいただき,感無量です。こういうとき,弁護士になってよかったと思いますよね。

今後もしっかり頑張っていきたいと思います。

enter image description here

飲酒運転撲滅について考える

 令和3年4月29日,豊前市所在の青豊高校にて,NPO法人 はぁとスペース福岡の代表・山本美也子様の講演を拝聴する機会に恵まれました。「思いやりで社会を変える。~この時代を生き抜く私たちに出来ること~」と題し,主に飲酒運転に関するお話をいただきました。

 山本さんからは,長男とその友人を,痛ましい事故により亡くした経験を,赤裸々に語っていただきました。飲酒運転をするとはどういうことか。まだ飲酒も運転も経験のない高校生を相手に,「酔っ払いメガネ」なるもので,実際に酒酔いを疑似体験してもらったり,「お酒に酔うというのは,脳に麻酔がかかっている状態」などとわかりやすく説明をしていたり,私にとっても非常にためになるお話が多かったです。

 仕事柄,飲酒運転で裁判を受ける方,加害者の弁護をすることもしばしばです。どうしたら実感をもって,感銘力をもって,被疑者・被告人と話ができるか,私も常々考えています。

 今回のお話も参考に,私も引き続き飲酒運転について,考えを深めていきたいと思います。

2021年3月18日 あさかぜ研修 交通事故について

2021年3月18日 あさかぜ研修(交通事故) @あさかぜ基金法律事務所  ご要望もいただきましたので,私なりの整理で,実務的な交通事故処理のお話をいたしました。特に,むちうち事案を扱うことが多いであろうことにかんがみ,むちうち事件に関する,受任のタイミングごとのさまざまな基礎知識や実務上の工夫をお話しさせていただきました。異議申立を想定し,14級9号と12級13号の違いをどう理解して,特に14級9号該当性を認めていただくためにどのような資料収集・主張立証をしていけばよいかについてお話しいたしました。その他物損事件の対応のコツなども含め,用意はしておりましたが,時間の関係で次の機会にお話とさせていただきました。幣所では,交通事故に関する弁護士向けの研修,整形外科・整骨院向けのセミナー,保険会社や保険代理店向けのセミナーなども積極的に行っていきたいと考えています。今回の研修がその第一歩になればと存じます。

軽微な交通事故事件への捜査機関対応実務

今月の「月刊交通」では,城先生が,捜査機関の交通事故対応実務について解説しておりましたので,ご紹介します。

軽微な交通業過事件は,警察から検察庁に送致される際に,用いられる書式に違いがあります。基本的には,被害者の負傷の程度によって送致がなされます。

①被害者の受けた傷害の程度が全治3か月を超える

→通常書式

①被害者の受けた傷害の程度が全治3か月以下(被害者が複数の場合は,最も重い傷害の程度が全治3か月以下)の事件

→被疑者を逮捕した場合などの一定の例外に係るものでなければ,通常の書式より簡略な第一種の特例書式によってよい

②それより軽微な交通業過事件で,被害者の受けた傷害の程度が3週間以下の事件

→赤信号無視などの一定の例外に係るものでなければ,さらに簡略な第二種の簡約特例書式によってよい

→この書式によれば,実況見分なども詳細な図面は不要。簡略な図を作成することで足りる。被害者や被疑者の供述調書についても,チェックをつけることで供述内容を示すことができる定型書式を使うことができる。

実際は,第二種簡約特例書式の利用が,他の書式より圧倒的に多い。被害者としては大したけがでもないことから,相手方に処罰を求めようと思うわけではなかったとしても,道交法上の報告義務があるし,自動車保険の関係上も,警察に届け出ないとその手続がなされないという事情があることにもよる。

この第二種簡約特例書式による送致事件は,被害者が処罰を求めていない事案であれば,検察庁において,ほぼ例外なく一律に起訴猶予として処理される。

立法論としては,過失傷害罪と同じく,交通業過事件も,親告罪にしてもよいのではないか。

警備事件については,刑事訴訟法246条ただし書の「微罪処分」として,警察から送致を不要とすることも検討されてよいのではないか。

…なるほどなるほど。捜査実務が詳しくわかって参考になります。民事交通賠償事件も取り扱う弁護士としては,捜査記録においてどれだけ有用な資料が取得でき,民事の交渉・裁判に活かせるかという点が気になりますが,捜査実務を知っていると,より精度の高い見通しを,より早い段階で立てられますね。

レビュー 損害保険代理店の教科書

有限会社プリベント代表取締役森和彦著「損害保険代理店の教科書」

弁護士業と保険代理店業というのは,結構共通点があるんですね。最低限,パソコンと電話があれば開業できますし,会社や組織などに顧客がつくというより,営業マン個人にお客がつくといった特徴も類似していると思います。隣接業といってもよいかもしれません。そんな異業種の活動を知っておくのは,必ずや弁護士業にとってもプラスになると考えており,いろいろと勉強しています。私の場合,交通事故事件を受任することも大変多いですので,その意味でも,勉強する価値は大きいでしょう。そんなあけで,ジャケ買いしたとある本についてのレビューを書いてみます。

全体的には,やはり,共通点が多いからか,ふむふむなるほどという業務の工夫も多く,ぜひ参考にしたいと思いました。

仕事は楽しくやるべきという自論,そのとおりと思います。著者によると,「ほぼ残業がない」「周囲の人や環境に恵まれている」「ノルマとの付き合い方を知っている」ということですが,楽しく仕事をしていれば周りに人は集まってくるし,よいときも悪いときもある人生においては長期的な視野でみて,イチイチくよくよしないということでしょうか。

仕事を楽しむためのセルフマネジメント。①遊び心を持つこと,②短所を克服するより,長所を伸ばすこと,③自分のやり方を見つけたら,その手法に磨きをかけること,などが紹介されています。P・F・ドラッカー博士も,「マネジメント」のなかで,「人のマネジメントとは,人の強みを発揮させることである」と述べています。この点は,長所をさらに伸ばすのには相当のパワーが必要という面もあり,短所は比較的(そこそこのレベルまでは)克服しやすいという面もあるとは思いますが,楽しく仕事をする上では,長所に磨きをかけるのは大事なことですね。

著書のなかでは,繰り返し,「クライエントへの情報提供の重要性」が述べられています。情報提供するだけではなく,手厚くフォローする必要性も。弁護士は,「紛争の解決」を商品とする仕事であるがゆえ,こちらから働きかけるのがはばかれる面があります。こちらから,紛争をたきつけるようなことがあってはいけませんし,余計なおせっかいは厳に慎むべきと考えています。とはいえ,人の役に立つ,有益な情報であれば,それを発信する社会的な意義も大きいことでしょう。売り込み営業は厳に慎みつつも,有益な情報発信のため,日々努力しておられるというのは,非常に共感を覚えたところです。営業の仕方は,「嫌われる迷惑訪問」から「感謝される情報提供」へ。肝に銘じてやっていきたいと思います。著書のなかでは,業界に特化した情報を極めて,それを情報提供するという方法(たとえば,美容室業界の情報を極めて,美容室の開業資金の作り方から,有利な店の立地,美容室の雇用環境問題のことまで,とにかくありとあらゆる美容室の困りごとを解決する方法を知り尽くしている税理士のことが紹介されています。)が述べられています。私も見習いたいところです。業界でいうと,介護・医療業界(地方でニーズが高いと思われる高齢者関係のもの)についての勉強を進めていますが,私もこの税理士のように活躍できるよう努力したいと思います。

年賀状よりもバースデーカードを,という点には,はっとさせられました。生命保険の営業マンですが,毎年誕生日にはがきに一言添えて送ってくださる方がいます。やばり,その方が,生命保険関係で1番親しくしている営業マンですね。その他,何かのきっかけでランチ等ご一緒したり,契約をさせていただいたりした場合に,必ず,はがきを送ってくださる損保代理店の営業マンもいます。この方の場合,毎回「ありがとうございます」と大きく印字されたはがきで,それ自体は毎回同じなのですが,やはり一言付していただいた上でいただくので,非常に印象に残ります。私も真似しようと思いつつ,はがきの準備さえしないまま過ぎて行ってしまっていますので,今年こそ始めようと思います…

SNSは,ソーシャルセリング(SNSで見込み客と会話をしたり,コンテンツを提供したりするすることで,購買を促していく手法)ではなく,既存顧客との関係強化のために使うべき,という考え方も,参考になります。何かと宣伝がましい記事を書いてしまいがちになりますが,慎んだ方がよさそうですね(笑)。

商品説明はわかりやすさが命。できるだけ身近な例で説明する。などといったことも非常に共感できるところ。業界紙に目を通そうという考え方も,非常に参考になりました(ちなみに,保険関係の専門誌は,「全国紙新日本保険新聞」「保険毎日新聞」などだそうです。)。

私も,幣所も,ますます進化するため,隣接業種の取り組みも参考にしていきたいです。

4月の交通事故最少 日経新聞記事

日経新聞・令和2年5月17日(日)記事。

記事によると、4月に同月で起きた交通事故は、前年同月比36%減(?!)・2万0805件とのこと。警察庁に月間のデータが残る1989年以降、月間で過去最少を更新したそうです。

コロナの関係で交通量が減ったからと分析されていますが、一方で、死亡事故が増えた地域もあり(原因:信号無視や速度超過が多い)、外出自粛による気の緩みから、油断を招いたのではないかと分析されています。

事故が減るのはよいことだと思います。私の実感でも、ここ最近の交通事故の新規受任は少なくなっているように思います。 しかし、その原因が、コロナによる一過性のものとすれば、根本的な交通事故の原因は根絶できておらず、たとえば、コロナ疲れをしている人々がいずれ解放されて交通渋滞を招くなどした際には、むしろ事故が増えてしまうことさえ懸念されるところです。

まだ勉強を始めたばかりなので、これから記事にもしていきたいと思いますが、交通心理学についても勉強をしています。人間の心の動き、特に事故の際の心理状態を知ることが、翻って交通事故を防止するための役に立つかもしれないという想いからです。

事故が減少するよう、私も、私の立場から、日々いろいろと考えていきたいと思います。

飲酒運転をめぐる関係者の損害賠償責任

私が扱うエリアが特別というわけではないでしょうが,在宅の刑事弁護で圧倒的に多いのは,飲酒運転です。車がないと生活できないエリアですからね。それなのに,免許を取り上げられるような行為をやってしまって,被告人からは「バカなことをした」と言われますが,十分注意しましょう。

飲酒運転の原因を作った人,お酒の提供者等も,幇助者(犯罪行為を促進した人)として賠償責任を問われる可能性があります(民法719条2項)。

具体的には,運転者以外の関係者に,運転者が飲酒した状態での運転を制止すべき義務が認められるためには,運転者に不法行為責任が認められることを前提に,

①事故時において,運転者が飲酒した状態で運転していたこと

②飲酒が運転者の不法行為を構成する注意義務違反の原因になっていること

③運転者が,運転開始時において,酩酊状態又は飲酒により正常な運転ができない状態にあったこと

④関係者が,幇助行為時において,運転者が飲酒した状態で運転することについて,認識し又は認識することができたこと

⑤関係者が,幇助行為時において,運転者が,運転開始時に,酩酊状態又は飲酒ににより正常な運転ができない状態にあることについて,認識し又は認識することができたこと

⑥関係者が,運転者が飲酒により正常な運転をできない状態に陥った経緯において,深く関与していたこと

を検討することになります。

注意義務違反の有無は,運転者との人的関係,車両を運転する可能性についての認識の程度,酩酊状態の程度,酩酊状態への関与の程度等を踏まえて,実際に講じた措置の有無及びその内容を検討することになります。

同乗者が,運転者に対し,飲酒した状態での運転を命じたとか,当初から同乗して飲酒に向かい,飲酒後も,飲酒者のうち誰かが運転して帰る予定であったというような事情がある場合,幇助者というを超えて,客観的協同関連性のある共同不法行為(民法719条1項)と言えるかもしれません。

入院付添費について

入院中の被害者に,近親者が付き添った場合,どんなときに,入院付添費が損害として認められるでしょうか。

①重篤な脳損傷や脊髄損傷の場合,②上肢・下肢の骨折の場合,③軽傷ではあるが,被害者が幼児・児童の場合,④軽傷ではあるが,被害者が受傷によって精神的に不安定になっている場合,⑤危篤状態の場合,などはどうでしょうか。

一般論として,付き添いの必要性があり,実際に付き添いがされた場合,相当な金額が認められていると思います。

付添いの必要性は,医師の指示があれば原則として認められます。医師の指示がない場合も,受傷の部位,程度,被害者の年齢等により,付添いの必要性が認められることがあります。

現在の医療機関では,完全看護として,医療・監護の観点から必要な行為は原則として医療機関の側で行うという建前になっており,親族等が付き添うことは基本的に不要とされています。この点との兼ね合いで,付添費を否定する例もあります。

①重篤な脳損傷や脊髄損傷の場合,近親者が病院側の看護の補助行為を行っている場合には付添いの必要性が認められることが多いといえます。必ずしも近親者が医療上あるいは看護上有益な行為を行っているとまで言えなくとも,肉親の情誼の観点から社会通念上付添いが相当であるとして付添いの必要性が認められることがあるということができます。

②上肢・下肢の骨折の場合,負傷の部位・程度のみならず,入院生活にどのような支障があり,近親者にどのような介助をしてもらったかによります。近親者が食事,排せつ,着替え,歩行などの介助を行っていることを指摘して,付添いの必要性を認めている例もあります。

③軽傷ではあるが,被害者が幼児・児童の場合,概ね小学生までの子どもについては,特段の事情がない限り,近親者による付添いの必要性が認められると考えられます。幼児・児童は心身が未成熟であり,親の監護の下で生活しているのですから,入院の際には,両親等の近親者が付き添うことは社会通念上必要かつ相当と考えられるからです。

④被害者が軽傷であり日常生活動作も誓約されていない場合には,交通事故の衝撃や入院という非日常的な出来事に伴う落ち込み,不安,興奮といった程度の精神的不安定の状態であれば,通常は,そのことのみでは付き添いの必要性は認めがたいと言えます。

④危篤状態における付添いに入院付添費を認めるかどうかは,傷害の重篤さ,被害者の年齢,近親者の付添い行為の内容といった個別の事情にもよりますが,生命が危ぶまれる状況における肉親の情誼としての付添いを相当なものとして評価するかどうかという問題になると思われます。

総じて,医療上の観点,介護上の観点,その他社会通念上の観点から,傷害の内容及び程度,治療状況,日常生活への支障の有無,付添介護の内容,被害者の年齢等の事情を総合考慮し,場合によっては近親者の情誼としての面も考慮して,付添いが必要・有益ないしは相当であると評価できるときに,付添いの必要性があると判断されています。

付添費を認めるためには,付添いの事実が必要です。病院に行っていても,単なる見舞いに過ぎなかったり,医師の説明を受け手続きをしただけなどの場合,付添いと評価できないとして入院付添費を否定されることがあります。

被害者は,近親者の提供した付添看護の労働を金銭的に評価した金額の債務を近親者に対して負っていることとなり,これを被害者の損害とみて加害者に請求することができると理解することができます。

近親者による入院付添費の額は,基本的には,当該被害者の受傷の程度や年齢,必要な付添行為の内容,付き添った日数・時間等を考慮して,相当な金額を定めることになります。

有職者である近親者が被害者の付添いのために休業し,収入の減少を来すなどの損害を被った場合に,近親者の休業損害相当額を被害者の損害として認めることができるかという問題があります。しかし,基本的には認められていないようです。

物的損害-修理について

交通事故に遭えば,ほとんどの場合,物損は問題になり,修理費が問題になります。全損になる場合も,特に経済的全損の場合は,修理費の金額との比較になりますから,やはり修理費の検討は重要と思います。修理費の検討に役立つ知識について,備忘メモを。

1 自動車の浩三

大きく,ボデーとメカニカルの2つになります。

ボデーは外装部品,骨格部品,内装部品などになり,事故で損傷を受ける主な部位です。

メカニカルは,エンジン,動力伝達装置,サスペンション,ステアリング,ブレーキ,その他の,走る・曲がる・止まるに必要な部位です。

ボデーはモノコック(1つの殻)ボデーとフレームボデーに分かれ,現在販売されているほとんどの乗用車はモノコックボデーです。

ボデーを構成する外版パネルは人間でいう皮膚であり,ボルトで取り付けるものや溶接で取り付けるものがあります。内板骨格パネルは人間でいう骨であり,溶接で取り付けるものがほとんどです。

各社安全性向上に努めていますが,衝突安全ボデーにおいては,効率よく損傷(変形)する構造がとられており,意図的に変形する場所(クラッシュブルゾーン)を設定しています。損害評価の際は,変形しやすい場所に留意する必要があります。

2 修理見積の構成要素

工賃と部品費で構成されます。

工賃には,①板金工賃,②取替・脱着工賃,③塗装工賃,の3つがあります。

3 見積書の見方

ユーザーが内容を理解しやすいよう,基本的なルールがあります。

見積書は,一般的に,前部損傷車の場合,前から後ろの順で,後部損傷車の場合,後ろから前に記載されています。作業の種類毎に記載されています(ボデー→メカニカル→塗装)。

4 修理復元の原則(要件)

①性能(構造・機能)の回復  構造及び機能を回復させること

②安全性の確保  保安基準に適合させること

③耐久性の確保  修理箇所に防錆対策を施すこと

④美観の回復  修理箇所の美観を回復させること(主に塗装)

改正民法 其の三(相殺)

これまで,不法行為に基づく損害賠償請求権同士は,条文と判例上,相殺できないとされていました。そのため,和解でも,相殺処理する場合,合意相殺処理としてきました。

改正民法509条では,(悪意で生じたわけではない)物損の損害賠償請求権は相殺ができるとされました。

①悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務,②人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務を相殺はできません。ここでいう「悪意」は故意では足りず,積極的意欲までも必要であるとされているようです。