私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

2021年度支部交流会

令和4年2月5日(土)午後1時30分~午後5時,九弁連司法改革問題に関する連絡協議会が運営する2021年度支部交流会が開催されました。

この会は,毎年執り行っています,年に1度の,裁判所支部管内で活動する弁護士の交流会です。その年その年のテーマを設定し,事前にアンケートをとり,情報共有,問題の深掘り,意見交換を行い,その後の運動に生かすための糧としています。

ここ数年は,弁護士業界全体としても関心の高い「民事裁判手続のIT化と支部問題」を連続で取り扱ってきましたが,今年も,いよいよ令和4年7月までには全支部でWebの裁判が導入されるという状況を受け,今一度現在の到達点と改めて問題点の検討を行うべく,テーマとして設定させていただいております。

大阪弁護士会所属・民事訴訟法(IT化関係)部会委員・阿多博文先生をお招きし,1月28日に定まったばかりの要綱案をベースにIT化の議論状況について,わかりやすくご解説いただきました。そのうえで,質疑及び意見交換を行っていきました。活発な意見が出て,有意義な意見交換ができたのではないかと思います。

参加者から出ました,「支部の弁護士として考えていかなければならない問題点」の指摘も,大変示唆に富むものでした。

①裁判官非常駐支部において,本務庁の裁判官がWebで裁判することを求めるか。実現すれば非常駐支部で開廷日が制限されるという問題は解消する反面,そうであれば支部の箱は必要ないとなりかねず,長い目で見れば支部の統廃合を誘発するおそれがある。

②支部裁判官でも,本庁の裁判官2名と組めば,合議ができる可能性がある。そのような形で,支部に合議を組み入れていくことを求めるか。支部機能が拡充する可能性と,支部の箱が必要なくなる可能性の両面を秘めている。

③中心部の大規模事務所が,地方の事件を処理することになる可能性をどう考えるか。中心部では楽観論が多い。地方の弁護士としては,地域に根差す活動をしていきたいと思っているが。

④本人訴訟のサポートが支部にどのような影響を及ぼすか。

⑤支部の機能の縮小の可能性をどう考えるか。長い目で見れば,みながITを活用できる時代が来るかもしれない。そうすると,支部の建物は必要なのかという議論になりかねない。平成初期の統廃合は裁判所主導で勝手にやられてしまったものであることを忘れてはいけない。「ここだけは残してほしい」という守りの活動をしていくべきではないか。

私も,また協議会も,引き続き考えていきたいです。

その後,支部の実情に関する意見交換,そして特別講演として,来年度北九州において九弁連大会が開催されることから,小倉の本庁昇格問題に関するご報告をいただきました。

支部におけるzoomを活用した相談の可能性,法テラスを利用した電話相談の可能性などを知れました。支部の弁護士がいきいきと独特な活動をしているさまを垣間見れて,同じ支部弁護士として非常に励みになりました。小倉の本庁昇格問題は,問題点等を端的に知ることができ,今後の活動の糧としていきたいと思いました。

運営側の事務局長職を拝命しておりますが,今回も機器等の特段のトラブルもなく,滞りなくプログラムが終了し,ほっとしているところです。参加していただきましたみなさま,お疲れ様でございました。運営側のみなさま,ご協力ありがとうございました。

また来年も,充実した会にしていきたいと思います!

関弁連の支部交流会に参加してきました。

関弁連の支部交流会に参加してきました。メインテーマは調停官(調停委員ではありません)の拡大・民事訴訟のIT化と支部問題。やはり長時間のWeb視聴は疲れますね。該当弁連外のため安心していたら指名もいただきましてひとことだけ発言させていただきました。 内容はさまざま,勉強になりましたが,いくつか挙げますと… 開会のあいさつが地元市長なのは驚きました。弁護士出身の市長だったのですね。 関弁連の「地域司法充実推進委員会」は,支部交流会(弁護士間交流・意見交換)だけでなく,報道各社記者との意見交換会,支部現地への移動委員会,支部現地の裁判所・検察庁・市役所等の視察等,地域司法関係の専門家との勉強会,支部サミット(市民参加型),法曹連絡協議会など実にさまざまなことをやっているようです。九弁連でも参考にさせていただきたいと思います。 民事訴訟のIT化については特にさまざまでしたが,①土地管轄を守ること,②人証を限定的にすること,の2点を必ず守るべき,そうすると必然的に支部の箱や機能をなくすことはできない,といったような意見(ねじ曲がっていたら申し訳ないです。私はそう理解しました。)はなるほどと思いました。加えて,支部でのWeb裁判の実施が来年からであることになぜ誰も怒らないのかという意見もありましたが,私も同感です。 会で吸収したことを活かして,今後の九州の司法サービス全般の向上,反面である市民の利便性向上に役立てます。

汽車ポッポ

中津市は,豊前市に(正確にいうと吉富町をはさんで)隣接する,経済的・文化的に一体といえる地域です。

そんな中津市の名所をご紹介いたします。

現在の中津市は,耶馬渓の地域も含めた広大な地域となっています。その耶馬渓では,雄大な自然を背景に,耶馬渓鉄道が息づいていました。残念ながら現在これに乗って旅をすることはできませんが,耶馬渓鉄道を味わいながら一夜を過ごせる場所があります。

それが,「汽車ポッポ」です。

建物の外観からして面白い。万田の幹線道路沿いに,インパクトのある列車・SLを眺めることのできる食堂を認めることができます。この食堂に加え,民宿,別邸と,用途にあわせてさまざまな利用ができる一風変わった施設となっています。

なかでも,別邸は,昨年末にオープンしたばかりで見どころたっぷり。

宿泊施設ですが,ドアをあけると,なんと列車丸々一両が収納されています。列車のなかにくつろげるスペースやベッドなどが用意されており,息子でなくてもワクワクするスペースです。

3棟の施設,3台の列車,3つの内装を楽しむことができ,比較してみるのも面白そう。

製作は住友林業さんのようです。丈夫な木で,余計な柱を利用せずに,見通しのよい施設を作れるのが強みと思いますが,その強みを生かして,列車を収納できる,見通しのよいハコを用意してくださってますね。別途の椅子や桶の要らないお風呂や,こだわりの調度品,チェア・サイドテーブルなど,細かなところも含めて,贅沢な作りでした。 住友林業さんのモデルルームのような役割も果たすかもしれませんね!

コロナ関係の動向は引き続き気を付けなければならないのはもちろんですが,別邸は貸し切りで人が集合するような場所ではなく,籠るのにもいいかもしれないですね。密を避け,予防にも力を入れつつ,地域の良いところを楽しんでいけるとよいのかなと思います。

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中津中学校 出前授業

令和3年2月9日,中津中学校へ行ってきました!

出前授業のご依頼がありました。弁護士になるまで/なってからのお話をしてまいりました。

講和20分,質疑20分を目安にと言われていましたが,これぐらいの時間だとあっという間ですね。

私が弁護士に興味をもったきっかけとか,なぜ地方で仕事をしたいと思うようになったかとか,なってからどんな仕事をしているかとか。

少しでも参考になれば幸いです。

生徒の感想が聞きたいですね。

2020年度 支部交流会

令和3年2月6日,午後1時30分~午後5時,毎年恒例の九弁連支部交流会が開催されました。初のWebセミナーです!

私は同交流会を運営する協議会の委員ですが,今年から事務局長を拝命しています。その意味でも初めての試み。私にとっては上手く運営できるかどうかハラハラドキドキの交流会でした。

結果がどうだったかは参加者の方の感想に委ねるしかありませんが,終了してほっとしています。

今年は,大きく二部構成で企画しました。前半は,近年被災が目立つ九州において,今後,突然の被災にも対応できるよう,勉強の機会を設定しました。この交流会は,支部弁護士が,支部特有の問題に関する議論をし,その後の運動につなげるための会です。被災地に支部弁護士がいることで,どんなメリットが,よいことがあるのか。そんな最前線で活動する弁護士を,弁護士会としてはどんなバックアップをしていくことができるのか。そんな観点から,熊本県・人吉にて被災された,奥村先生,中嶽先生の2人の弁護士からご報告をいただき,熊本地震・人吉豪雨災害など,被災地支援に尽力された鹿瀬島先生からご報告をいただきました。たくさんの写真を見ながら被災の実際を感じるとともに,自身も被災して疲弊する中,それでも最前線で活動する弁護士の姿を目の当たりにすることができました。それをバックアップする弁護士の立場から,支部弁護士が被災地に存在することで,物理的価値,人繋的価値,継続的価値が発揮されるというようなお話をいただき,なるほどと思いました。そこに弁護士がいるだけで価値がある。弁護士が少ない地域で代えがたい役割を担えると思うと,支部での活動に力をもらったような気持ちにもなります。

後半は,裁判のIT化が,支部弁護士に与える影響に関する議論です。最高裁は,IT化が支部の統廃合にはつながらないというものの,事件の本部集約から支部の事件数が減少し,結果統廃合が進むのではという懸念は尽きません。支部の最前線で活動する弁護士としては,「ハコ」(支部の裁判所)があるということは,いわば象徴的な存在として,市民の司法へのアクセスに関する心理面での促進に寄与していると考えています。ハコをなくすのはぜひとも避けてほしい。でも,過去に大きな統廃合がされたように,どんどん支部のハコもなくなっていくのでは…そんな懸念が尽きないでいるものです。あわせて,現在,日弁連で本人訴訟のサポートをやっていく方向性が打ち出されていますが,司法書士会との業際問題などの背景も知ることが出来ました。IT化も本人サポートも,基本的にその方針としては定まってしまっているようなところもあり,どんな制度をつくっていかなければならないのかという点も含めて,引き続き議論を進めていかなければなりません。

不慣れな運営・司会でしたが,少しでも今後の支部弁護士の活動の糧になると幸いです。

来年度以降も,毎年,やっていき(はず)のものですので,引き続きよろしくお願いいたします。

発達障がいと犯罪・非行

令和3年1月23日(土)午後5時~7時 @吉富フォー・ユー会館研修室 NPO法人まど 支援者育成セミナー「発達障がいと犯罪・非行」

夫婦で興味関心がある分野であること,知人が主催していることなどから,参加して参りました!

講師は,一般社団法人おかえり基金理事長土井高徳様。

内容はとても興味深いものでしたが,深淵なテーマでしたので,内容を完全に理解できているのかも自信がございません。内容のリマインドではなく,私の感想・備忘的なものとさせていただき,今後も学びを深めていければと思いました。

支援者を悩ます「困った」子どもというのは,適切な理解と支援がないために実は「困っている」子どもたち,という指摘ははっとさせられました。ともすれば,支援者目線で上からの目線になってしまいがちのようにも思いますが,子どもの目線での捉え方をしっかり頭に置いておく必要があると思いました。

発達障害(生まれつきの脳機能の発達のかたよりによる障害。),愛着障害(不適切な養育(虐待)や養育者の一貫性を欠く養育により,深刻な対人不信に陥るなど適切な人間関係を維持することが困難になり感情統制が取れなくなる。),解離(虐待などを原因として直面化しなければならない場面で,心のスイッチを切って乗り切ろうとする自己防衛機能。)という3つの概念を整理しました。なるほど,視点が広がった気がします。

実際に発達障害の子どもとかかわるにはどうしたらよいか。説教するよりしっかりおなかを充たしてあげる。いつまでもいていいんだよ,安心して生活できる場を提供してあげる。いつでも帰ってきていいんだよ,一歩進んで二歩下がるような,ぐるぐるまわるような前進でも,決して見捨てず,子どもによりそっていく。実際に講師が取り組んできた内容のお話を聴いて,なるほどと思いました。安全感のある毎日を保障し,一貫性・継続性のある応答をする。相互性を活かしたたすけあい・支え合いの関係を構築する。すべてを理解できたかはわかりませんが,対応の基本的な視座を得ることができた想いです。

犯罪・非行に走ってしまう,困難を抱える子供にどう対応するか。時間とともに成熟するのを待つ。右肩上がりの回復ではなく,行きつ戻りつの円環的な回復を認め,「支援者の方が自分の感覚で成長を促す」のではなく,「子どもの成長を横に並んで一緒に歩んでいく」姿勢が必要。クスリの処方よりも関係性の処方。ちょっとずつちょっとずつ,できたこと,できるようになったことに目を向ける。ゆっくりじっくり根気強く対応していくことが必要だと感じました。

講師のことばのなかで特に印象に残ったのは,以下の「7つの魔法の言葉」。子どもの心を転換させる言葉として紹介されました。

1 共感 …「ああ,つらいんだね。」

2 愛着 …「ああ,そのままでいいよ。」

3 慰労 …「よくがんばってきたね。」

4 感謝 …「ありがとう。」

5 同意 …「そうなんだ。」

6 安心 …「だいじょうぶだよ。」

7 尊敬 …「きみって,すごい。」

ひらがなの,短い言葉ですが,きれいな日本語であり,かつ,1つ1つにとても深みのある言葉と思います。普段の生活の中で,改めて意識的に利用していきたいと思える言葉です。支援に限らず,子育て全般にも利用したいことばがけではないかと思います。

最後に。講師の方もおっしゃってましたが,「今日はいいこと聞いた。」と思っても,人間すぐに,どんどん,忘れていく。引き続き勉強を深め,今後の活動にいかしていけるよう,益々精進していきたいと,決意を新たにいたしました。

その決意のあらわれとして,現地販売の書籍をすべてゲット。講師の方からのありがたいお言葉もいただきました。まずはここから,学びを深めてまいります。

各書籍、目を通すことができたものから,またレビューを書いていきたいと思います。乞うご期待(?)。

今回は,犯罪・非行などが認められる発達障害の方へのアプローチについてのお話でしたが,そもそも,我々が当人にお会いした時,どうやったら発達障害と「気づけるか」というテーマでのお話もお聞きしたいと思いました。引き続き学びを深めてまいります。

企画・主催いただいたNPO法人まどの皆さま,有意義な時間をありがとうございました。

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阿蘇ひまわり基金法律事務所定着式 & シンポジウム「熊本ひまわり公設事務所の歩み」

令和3年1月15日,阿蘇ひまわり基金法律事務所定着式に参加しました!

阿蘇で6年間も地域のために活躍された森あい先生が,ついに定着。熊本の先生方はじめとして,熱烈に歓迎(定着なので,表現がおかしいでしょうか?)されているのが伝わってきました。

私は熊本大学に通って勉強した4年間,熊本で過ごしました。生意気にも普通二輪車を購入して走り回っておりましたので,当時もいろいろなところに行きました。ツーリングで阿蘇にもよく行っていました。大観峰の景色は絶景でしたし,ファームランドでの思い出もあります。熊粋祭(ゆうすいさい)の際は,遠歩(阿蘇のてっぺんから大学までひたすら歩く伝統行事。)の思い出もあります。

そんなことを思い出しながら聞いておりましたが,阿蘇は災害のあおりを受けたり,人口密度が薄かったりと,定着は難しいのではないかと考えられていたようです。「よく決断してくれた!」と喜びの言葉が飛び交っていました。

本当におめでとうございます!

その後にシンポジウムにて,熊本の公設の歩みを勉強させていただきました。

牛深から熊本中心地に何度も足を運んで相談に来ている方を見て,過疎偏在問題に取り組まないといけないと思ったというお話など,興味深いお話もうかがえました。

来月,支部交流会という,年に1度の,支部特有の問題を取り扱う交流会を執り行います。今年度から,私が事務局長を拝命しておりますので,しっかりと有意義な会となるように活動していきたいと思っています。

レビュー 白い巨塔 1978

田宮二郎主演「白い巨塔」(1978~1979)

先般,2003年版(唐沢寿明主演)や2019年版(岡田准一)についてのコメントをしましたが,今回は1978年版。

古いと言えば古いですが,映像で魅せる形のものではなく,人間ドラマがメインですので,新しいものに見劣りしない出来栄えだと思います。

1978年版,田宮二郎が演じる財前五郎は,名誉心が強く,それがわかりやすく表に出るタイプのキャラクターです(唐沢さんはポーカーフェイスが強いタイプ,岡田さんは二枚目タイプのように思います。)。「登り詰めたい」という欲望がわかりやすく前に出てくるようなキャラクターで,そこがなんとも魅力的です。それでいて強くお母さん想いだったり,時々弱さを見せたりと,そのギャップも素晴らしいです。

内容的には,他と比較しておそらくかなり長時間のドラマですので,特に医療裁判編はボリュームたっぷりで見どころがあります。ただ,ラストで財前の癌がわかってからのドラマのボリュームは最近のものの方が長くて深かったように思います。1978年版は最後まで誰も本人に癌の告知をしませんが,いまではインフォームドコンセントの観点から問題があるのではないでしょうか。劇中でも「やっぱり告げておくべきではなかったかな」という発言も出てきます。

手続上の比較。1978年版は,里見・柳原の対質尋問,財前・柳原の対質尋問の両方があります。新しい2003年版,2019年版はカルテの改ざんが出てきますが,1978年版はカルテの話は出てきません。2003年版では改ざんされた紙カルテの証拠保全がされましたが,1978年版は死亡した患者の異の標本を証拠保全します。病理検索するためにですね。弁護活動の比較をするのも面白い。

弁護士のキャラクターにも作品ごとの特徴があります。1978年版は原告代理人が正義感あふれるキレ者の弁護士。「実費だけもらえれば」なんて,私には真似できそうにありません。私が1番好きなのは2003年版の弁護士。医療裁判に負け続けて腐りかけ,最初は高額な着手金ほしさに依頼を受けるが,次第にこの医療裁判にのめり込んでいく。弁護士の成長ストーリー的な部分が非常に見どころあります。2019年版はやや抜けているところのある弁護士が活躍するといった感じですが,弁護活動がそれほど丁寧に描かれていないように感じます。特に法廷以外の描写について。

被告代理人については,2003年,2019年などについては,少なくとも財前が虚偽供述をしているとは思わず,依頼者を信じて闘っているという点で,許容できる弁護活動と思いましたが,1978年版はひどい。あれは虚偽供述とわかってながら,医局員にその裏付けのための供述を記憶喚起するように求めたり,弁護士自身がお金をもって証人に接触したり(2019年版は主に財前又一の接触)…まるで悪代官のようです。

こうしたところを比較していくところも面白いと思います。

弁護士の視点で,手続き的な部分,弁護士の活動などについて,比較をしてみました。ご参考いただけますと幸いです。

レビュー 劇場版 鬼滅の刃 無限列車編

劇場版 鬼滅の刃 無限列車編

勢いのある映画です。興行成績も,本日現在,既に325億円を超えているとか。

ご相談者様から聞いた話では,「キメハラ」なるものが横行するほどの人気ぶりだそうで(キメハラ=鬼滅ハラスメント。鬼滅の刃の話についてこれない人が輪に入れなかったり,自分の意見を押し付けたり押し付けられたりといった現象のことを指すようです。)。私もはぶられないように,例に漏れず漫画・アニメ・映画と鑑賞させていただきました。

鬼滅の刃全般についていうと,もともとポテンシャルのあった作品なのでしょうね。キャラクターも個性的。物語そのものも魅力的。なのはもちろんとして,しかし,当初はそれほど著名というわけではなかったようです。アニメ化をきっかけとする「売り方」も非常によかったんでしょうね。

【以下は,ある程度なかみを知っている,映画を見ている人でないとわからない内容かと思います。ネタバレもおおいに含みますので,必要のない方は読み飛ばしてください。】

首はとぶし,血ははねるし,やたらと主要メンバーが死んでしまう本作。ハッピーエンドかと言われればそうとも限らないわけで,なんとなく,ここまでヒットするような作品とは想像もしていなかったのですが…アニメ化によるプロモーションがよほどすごかったのでしょうね。ヒットの要因を,さまざまな方が分析していますが,自分なりにこれを分析するのも面白そうです。

本作は,単純な勧善懲悪モノというわけではありません。敵とされる鬼ももともとは人間で,それぞれ,過去に理由があって鬼舞辻無惨(ラスボス)の血を得て鬼になっています。そういう意味では,少年漫画にありがちな勧善懲悪もの,正義が悪をやっつけるといった単純な構図ではない。そういった複雑さも,今時なのでしょう。それぞれの人間模様,群像劇が,物語に深みを与えているのでしょうね。

そういった作品は,キャラクターの心理描写,回想シーンなども物語に深みを与えるポイントになっていると思います。しかし,こうしたシーンが増えれば増えるほど,一方のヤマ場であるバトルシーンや物語全体の躍進感が削られるといったジレンマが生じがちだと思います。しかし,本作に関しては,むしろ,アニメ化により一層の躍進感を演出することに成功しているように思われます。これがヒットの要因なのかもしれませんよね。

映画は,原作の途中部分であり,何の説明もなく始まるため,原作を知らない者にとって不親切と言えば不親切です。そこは,ある程度予習してくる人が多数と踏んでいるのでしょう。原作もチェックしている私としては,おおむね原作に忠実だったのではないかと思いました。

列車モノは映画になじむと言われますが,冒頭,SLが走り出し,全方向からその様子が映し出されるワクワク感から始まるのはよかったです。乗り物好きのお子さんには特に喜ばれるのではないでしょうか。といっても,戦闘シーンの多くは車内又は脱線後になるため,列車モノのよさが完全に生かしきれていたわけでもないのでしょうが(よく見られる車両切り離しなどの演出もありません。),十分楽しめます。

前半は,各人の「幸せな」夢の中の話。どこまでも透き通った炭治郎の精神世界,正義の炎が埋め尽くす煉獄の精神世界など,心の中が対比されるように描き出されており,戦闘シーンだけでない見どころが描かれます。そこで,あえて幸せな夢の中ではなく,過酷な現実世界に,しかも自分の首を切り落としてまで帰るという炭治郎の複雑な心の中が,見事に描き出されていたように思います。一方で,鬼の甘言にのって,各人の精神世界の「核」を破壊しようとする者たち。これらとの対比によって,炭治郎の心の動きがより際立っています。彼らと自分は紙一重。そんな心の叫びが聞こえてきそうです。

夢から覚めてからは,下弦の鬼との対決です。戦闘シーンも見どころ。

そして最大の見どころといってよいのは,後半,SLの脱線後,突如襲来した上弦の鬼と煉獄との対決でしょう。

正直,文脈なく突如鬼がやってきて,???という部分もなくはなかったですが,一部分を切り取った映画ということもあり,この点はやむを得ないのかなと思います。

ここで,上弦の鬼・猗窩座(あかざ)は,煉獄の強さを認め,「お前も鬼になるべきだ」と,スカウトします。さながら大企業の優秀な社員の引き抜きのごとくです。しかし,これに全く応じず,母との約束を胸に,自分の責を全うしようとする煉獄。目頭が熱くなります。

力をもつ者は弱きものを守るべき。私利私欲のためにこれを使ってはいけない。

絶命しようとしているその時でさえ,鬼になることを拒んで闘う煉獄の闘志は必見です。

くだんの猗窩座(あかざ)も,弱き者を嫌うのに理由があるのですが,これは原作のかなりラストのあたりまでいかなければ明かされないものです。そういった意味ではきちんと完全に描かれているわけではないですが,これもやむを得ないですかね。

煉獄は,冷静に考えれば,劇中でもラストを除いてほとんど戦闘シーンが描かれていませんし,原作においてもおおむねメインで登場したその日のうちに死んでしまうという役回りになるわけです。当時描かれている柱としては初めて死んでしまうキャラクターになると思います。それでも人気のあるキャラクター。それも納得の内容でした。

全体としては,ストーリーを大まか把握していても,目頭が熱くなるのを抑えきれないシーンが多数。戦闘シーンも見どころがありますし,心理描写も巧み。もちろん好き嫌い,趣味嗜好はあるでしょうが,多くの人を魅了しているだけあって,完成度の高い作品だったのではないでしょうか。

名言,名シーンも多いですが,日常生活や仕事でも活かしたいものがたくさんありましたね。

煉獄の,後に続く者を信じて闘う姿,経営者として見習いたいと思います。

ドライブインフェス

ラブファンタジア2020in中津

クリスマスで別府といえば花火大会。しかし,中津でも負けじと人を集めたい!

ということで始まったというラブファンタジア。中津商工会議所青年部主催のクリスマス恒例イベントです。

しかし,今年はご承知のとおり,コロナの問題があり,イベントを行うにはハードルが…

そこで,感染症対策を考えた末,ドライブインフェスという形をとることになりました。

大きなスクリーンを用意して映像を映しつつ,入場台数を制限の上,参加は車での参加のみとし,FMで音声を拾っていただいた上でイベントを楽しむという方式。よく考えてますね~

コロナで経済が停滞し,お金を集めるのにも苦労がありました。

当日。駐車場はほぼ埋まり,大盛況と言ってよいでしょう。

私はというと,車の誘導係をつとめました。

車での参加です。スクリーンが見えるように配置も考えないといけません。両端は斜めを向くように誘導するなど,工夫が必要でした。参加者も,斜めに停めるというのがわかりにくかったようです。反省です。

赤くピカピカ光る照明をもって誘導していると,本物の警備員みたいですよね(笑)。

車が多い時間帯は,走り回って誘導しており,非常にしんどかった。寒いし。日頃の運動不足を感じました。(いい運動になりました。)

警備係のプレッシャーは,事故が起きないかということです。事故でも起きようものなら,楽しいイベントが台無しですので,非常に緊張しました。

イベント保険には入っていたようですが…縁起でもないものの,仮に本当に事故が起こったら,どういう処理になるのでしょうね。誘導していた人間が責任を問われるのか?あくまで運転していた者が責任を取るのか?両方か?両方ならその割合の決定基準は?などなど。法律家の職業病ですかね。

イベントに至るまでには,紆余曲折あったようですが,蓋をあければ大盛況で,やってよかったイベントではないかと思います。

私も,13時~22時くらいまでは活動していましたが,テントはり,駐車場整備,警備と疲れたものの,花火は綺麗でしたし,みなさん楽しんでくれていたようで,私も楽しかったです。

今の時代,子どもさんがなかなか外でのびのびと遊ぶことがはばかられるような時代になってしまいました。たまにはこんなイベントで,花火でも見てほっこりするのもよいですね。誘導していて,ほとんどのお車は,家族連れでの参加で,大きなファミリーカーが多かったのも印象的でございました。