私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

軽微な交通事故事件への捜査機関対応実務

今月の「月刊交通」では,城先生が,捜査機関の交通事故対応実務について解説しておりましたので,ご紹介します。

軽微な交通業過事件は,警察から検察庁に送致される際に,用いられる書式に違いがあります。基本的には,被害者の負傷の程度によって送致がなされます。

①被害者の受けた傷害の程度が全治3か月を超える

→通常書式

①被害者の受けた傷害の程度が全治3か月以下(被害者が複数の場合は,最も重い傷害の程度が全治3か月以下)の事件

→被疑者を逮捕した場合などの一定の例外に係るものでなければ,通常の書式より簡略な第一種の特例書式によってよい

②それより軽微な交通業過事件で,被害者の受けた傷害の程度が3週間以下の事件

→赤信号無視などの一定の例外に係るものでなければ,さらに簡略な第二種の簡約特例書式によってよい

→この書式によれば,実況見分なども詳細な図面は不要。簡略な図を作成することで足りる。被害者や被疑者の供述調書についても,チェックをつけることで供述内容を示すことができる定型書式を使うことができる。

実際は,第二種簡約特例書式の利用が,他の書式より圧倒的に多い。被害者としては大したけがでもないことから,相手方に処罰を求めようと思うわけではなかったとしても,道交法上の報告義務があるし,自動車保険の関係上も,警察に届け出ないとその手続がなされないという事情があることにもよる。

この第二種簡約特例書式による送致事件は,被害者が処罰を求めていない事案であれば,検察庁において,ほぼ例外なく一律に起訴猶予として処理される。

立法論としては,過失傷害罪と同じく,交通業過事件も,親告罪にしてもよいのではないか。

警備事件については,刑事訴訟法246条ただし書の「微罪処分」として,警察から送致を不要とすることも検討されてよいのではないか。

…なるほどなるほど。捜査実務が詳しくわかって参考になります。民事交通賠償事件も取り扱う弁護士としては,捜査記録においてどれだけ有用な資料が取得でき,民事の交渉・裁判に活かせるかという点が気になりますが,捜査実務を知っていると,より精度の高い見通しを,より早い段階で立てられますね。

発達障がいと犯罪・非行

令和3年1月23日(土)午後5時~7時 @吉富フォー・ユー会館研修室 NPO法人まど 支援者育成セミナー「発達障がいと犯罪・非行」

夫婦で興味関心がある分野であること,知人が主催していることなどから,参加して参りました!

講師は,一般社団法人おかえり基金理事長土井高徳様。

内容はとても興味深いものでしたが,深淵なテーマでしたので,内容を完全に理解できているのかも自信がございません。内容のリマインドではなく,私の感想・備忘的なものとさせていただき,今後も学びを深めていければと思いました。

支援者を悩ます「困った」子どもというのは,適切な理解と支援がないために実は「困っている」子どもたち,という指摘ははっとさせられました。ともすれば,支援者目線で上からの目線になってしまいがちのようにも思いますが,子どもの目線での捉え方をしっかり頭に置いておく必要があると思いました。

発達障害(生まれつきの脳機能の発達のかたよりによる障害。),愛着障害(不適切な養育(虐待)や養育者の一貫性を欠く養育により,深刻な対人不信に陥るなど適切な人間関係を維持することが困難になり感情統制が取れなくなる。),解離(虐待などを原因として直面化しなければならない場面で,心のスイッチを切って乗り切ろうとする自己防衛機能。)という3つの概念を整理しました。なるほど,視点が広がった気がします。

実際に発達障害の子どもとかかわるにはどうしたらよいか。説教するよりしっかりおなかを充たしてあげる。いつまでもいていいんだよ,安心して生活できる場を提供してあげる。いつでも帰ってきていいんだよ,一歩進んで二歩下がるような,ぐるぐるまわるような前進でも,決して見捨てず,子どもによりそっていく。実際に講師が取り組んできた内容のお話を聴いて,なるほどと思いました。安全感のある毎日を保障し,一貫性・継続性のある応答をする。相互性を活かしたたすけあい・支え合いの関係を構築する。すべてを理解できたかはわかりませんが,対応の基本的な視座を得ることができた想いです。

犯罪・非行に走ってしまう,困難を抱える子供にどう対応するか。時間とともに成熟するのを待つ。右肩上がりの回復ではなく,行きつ戻りつの円環的な回復を認め,「支援者の方が自分の感覚で成長を促す」のではなく,「子どもの成長を横に並んで一緒に歩んでいく」姿勢が必要。クスリの処方よりも関係性の処方。ちょっとずつちょっとずつ,できたこと,できるようになったことに目を向ける。ゆっくりじっくり根気強く対応していくことが必要だと感じました。

講師のことばのなかで特に印象に残ったのは,以下の「7つの魔法の言葉」。子どもの心を転換させる言葉として紹介されました。

1 共感 …「ああ,つらいんだね。」

2 愛着 …「ああ,そのままでいいよ。」

3 慰労 …「よくがんばってきたね。」

4 感謝 …「ありがとう。」

5 同意 …「そうなんだ。」

6 安心 …「だいじょうぶだよ。」

7 尊敬 …「きみって,すごい。」

ひらがなの,短い言葉ですが,きれいな日本語であり,かつ,1つ1つにとても深みのある言葉と思います。普段の生活の中で,改めて意識的に利用していきたいと思える言葉です。支援に限らず,子育て全般にも利用したいことばがけではないかと思います。

最後に。講師の方もおっしゃってましたが,「今日はいいこと聞いた。」と思っても,人間すぐに,どんどん,忘れていく。引き続き勉強を深め,今後の活動にいかしていけるよう,益々精進していきたいと,決意を新たにいたしました。

その決意のあらわれとして,現地販売の書籍をすべてゲット。講師の方からのありがたいお言葉もいただきました。まずはここから,学びを深めてまいります。

各書籍、目を通すことができたものから,またレビューを書いていきたいと思います。乞うご期待(?)。

今回は,犯罪・非行などが認められる発達障害の方へのアプローチについてのお話でしたが,そもそも,我々が当人にお会いした時,どうやったら発達障害と「気づけるか」というテーマでのお話もお聞きしたいと思いました。引き続き学びを深めてまいります。

企画・主催いただいたNPO法人まどの皆さま,有意義な時間をありがとうございました。

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2020年度 豊前市内企業人権研修会

令和3年1月21日午後2時~

2020年度豊前市内企業人権研修会が開催されました!

コロナ禍ではございますが,ソーシャルディスタンスを保持して,検温や手指消毒など,感染症予防対策もばっちり。

内容も,大変勉強になりました。

ここ2年ほどは,私が連続して講師依頼をいただいておりました。しかし,あまり同じ弁護士の話ばかりだと凝り固まってしまうかなと思って,今年度は,別の弁護士に話をしていただくのはどうかと提案しておりましたところ,同期の松﨑広太郎先生が快くお引き受けいただき,豊前に新しい風を入れていただけました。

研修内容は,メンタルヘルス従業員への対応。きわめて実践的で,非常に勉強になりました。毎年松﨑先生でいいんじゃないかとも思いました(笑)。

精神疾患対応の要は,求職時,復職時,解雇時など,重要な局面で医師の診断に基づいた判断を下すことというアドバイス。そのとおりですね。具体的な事例をもとに,大変わかりやすく,楽しく勉強することが出来ました。

就業規則は休職と試用期間の定めをしっかりすべきとか,試用期間の延長の定めを入れておくと柔軟な対応ができるとか,実務的なお話もなるほどと思いました。

私は割と同業の弁護士の講演会なども聴きに行くようにしていますが,他の弁護士がどんな工夫をしているかは,自分が研修・講演・セミナーをするときにも参考になりますね。今回の松﨑先生の講演内容も(パクったと訴えられない程度に)参考にさせていただきたいと思っています。

地域で相談を受けての実感。正直に申し上げて,会社側から「社員が精神疾患にかかってとても仕事にならないから,解雇したい」的な相談は,あまり受けた記憶がありません。精神疾患にかかってしまったという労働者の相談はないわけではないですが,どちらかというと,会社を辞めた後の生活をどうするかとか,仕事ができなくて支払いができなくて困っているといった債務整理の相談が多いです。会社から不当に解雇されたというような相談はあまり記憶になく,おそらく,会社は会社で優しく退職勧奨し,労働者は労働者でお世話になった会社に迷惑かけたくないと退職しているようなケースが多いのではないかと思います。相談で見せていただく資料としても,解雇理由証明書などはほとんど見たことがなく,退職届がほとんどです。私の経験だけなので偏りがあって一般化はできませんが,福岡市で仕事をしていたときに比べると,解雇紛争は圧倒的に少ないような感覚はもっています(残業代請求は多少ありますが。)。

今回のメンタルヘルス対応についても,事前に紛争が予防できるように,後々のことまで頭に入れて,遡って適切な対応ができるようになるとよいですね。予防のためにも非常に参考になる内容でしたので。

今回は,業務起因性のない,私傷病としての精神疾患を取り扱いましたが,今度は業務に起因する精神疾患(労災含む)の内容を聞いてみたいと思いました。

研修の内容面ではないですが,細かく質問の時間をとって,たくさん質問が飛び交っていました。これにも的確に答えており,さすがだなと思いました。私も真似しようと思ったところです。そのときそのときに質問していただいた方が,質問する側としても,タイミングを逃さなくていいですよね。レジュメと話がマッチしていてわかりやすかったですし(私の場合,弁護士なりたての頃ではありますが,レジュメの内容の肉付けや書いてあるもの以外の話(付加価値)を付けた方がよいのかなと思って話していると,どこを見て聞いたらいいのかわからなくて困ったと指摘されたことがあります。聞いてる方がわかりやすく話さないといけませんね。),分量も多すぎず少なすぎず良かったと思います。

こういう時勢で,豊前市をご案内できなかったのは残念ですが,それはまたの機会にといたしたいと思います。松﨑先生,久留米から遠路はるばる,ありがとうございました。

阿蘇ひまわり基金法律事務所定着式 & シンポジウム「熊本ひまわり公設事務所の歩み」

令和3年1月15日,阿蘇ひまわり基金法律事務所定着式に参加しました!

阿蘇で6年間も地域のために活躍された森あい先生が,ついに定着。熊本の先生方はじめとして,熱烈に歓迎(定着なので,表現がおかしいでしょうか?)されているのが伝わってきました。

私は熊本大学に通って勉強した4年間,熊本で過ごしました。生意気にも普通二輪車を購入して走り回っておりましたので,当時もいろいろなところに行きました。ツーリングで阿蘇にもよく行っていました。大観峰の景色は絶景でしたし,ファームランドでの思い出もあります。熊粋祭(ゆうすいさい)の際は,遠歩(阿蘇のてっぺんから大学までひたすら歩く伝統行事。)の思い出もあります。

そんなことを思い出しながら聞いておりましたが,阿蘇は災害のあおりを受けたり,人口密度が薄かったりと,定着は難しいのではないかと考えられていたようです。「よく決断してくれた!」と喜びの言葉が飛び交っていました。

本当におめでとうございます!

その後にシンポジウムにて,熊本の公設の歩みを勉強させていただきました。

牛深から熊本中心地に何度も足を運んで相談に来ている方を見て,過疎偏在問題に取り組まないといけないと思ったというお話など,興味深いお話もうかがえました。

来月,支部交流会という,年に1度の,支部特有の問題を取り扱う交流会を執り行います。今年度から,私が事務局長を拝命しておりますので,しっかりと有意義な会となるように活動していきたいと思っています。

レビュー 白い巨塔 1978

田宮二郎主演「白い巨塔」(1978~1979)

先般,2003年版(唐沢寿明主演)や2019年版(岡田准一)についてのコメントをしましたが,今回は1978年版。

古いと言えば古いですが,映像で魅せる形のものではなく,人間ドラマがメインですので,新しいものに見劣りしない出来栄えだと思います。

1978年版,田宮二郎が演じる財前五郎は,名誉心が強く,それがわかりやすく表に出るタイプのキャラクターです(唐沢さんはポーカーフェイスが強いタイプ,岡田さんは二枚目タイプのように思います。)。「登り詰めたい」という欲望がわかりやすく前に出てくるようなキャラクターで,そこがなんとも魅力的です。それでいて強くお母さん想いだったり,時々弱さを見せたりと,そのギャップも素晴らしいです。

内容的には,他と比較しておそらくかなり長時間のドラマですので,特に医療裁判編はボリュームたっぷりで見どころがあります。ただ,ラストで財前の癌がわかってからのドラマのボリュームは最近のものの方が長くて深かったように思います。1978年版は最後まで誰も本人に癌の告知をしませんが,いまではインフォームドコンセントの観点から問題があるのではないでしょうか。劇中でも「やっぱり告げておくべきではなかったかな」という発言も出てきます。

手続上の比較。1978年版は,里見・柳原の対質尋問,財前・柳原の対質尋問の両方があります。新しい2003年版,2019年版はカルテの改ざんが出てきますが,1978年版はカルテの話は出てきません。2003年版では改ざんされた紙カルテの証拠保全がされましたが,1978年版は死亡した患者の異の標本を証拠保全します。病理検索するためにですね。弁護活動の比較をするのも面白い。

弁護士のキャラクターにも作品ごとの特徴があります。1978年版は原告代理人が正義感あふれるキレ者の弁護士。「実費だけもらえれば」なんて,私には真似できそうにありません。私が1番好きなのは2003年版の弁護士。医療裁判に負け続けて腐りかけ,最初は高額な着手金ほしさに依頼を受けるが,次第にこの医療裁判にのめり込んでいく。弁護士の成長ストーリー的な部分が非常に見どころあります。2019年版はやや抜けているところのある弁護士が活躍するといった感じですが,弁護活動がそれほど丁寧に描かれていないように感じます。特に法廷以外の描写について。

被告代理人については,2003年,2019年などについては,少なくとも財前が虚偽供述をしているとは思わず,依頼者を信じて闘っているという点で,許容できる弁護活動と思いましたが,1978年版はひどい。あれは虚偽供述とわかってながら,医局員にその裏付けのための供述を記憶喚起するように求めたり,弁護士自身がお金をもって証人に接触したり(2019年版は主に財前又一の接触)…まるで悪代官のようです。

こうしたところを比較していくところも面白いと思います。

弁護士の視点で,手続き的な部分,弁護士の活動などについて,比較をしてみました。ご参考いただけますと幸いです。

3つのA

企業活動において,メンタル不調の問題が注目されるようになりました。しばらく前から。

そもそも,不調って,どう見分けるんでしょうか。企業側の視点から考えてみます。

この点,「3つのA」ということが言われています。

①アルコール ②アブセント ③アクシデント です。

①アルコールは,お酒も含んではいますが,お酒だけでなく,たばこ,ゲーム,甘い物,衝動買い,ネットサーフィン,過度なメール,過度な趣味などなどといったものになります。その人がちょっとしたストレス解消や気分転換に使っているもの。趣味嗜好と言ってよいと思います。これらに依存的な傾向が強くなると言うことは,ストレス解消や気分転換を頻繁にしなければならない状況ということになります。度を越さなければ問題ないのでしょうが,日常生活に支障をきたすほどの徴候が出てきたら,危険信号です。依存的傾向が強まると,睡眠時間や体調など,生活リズムが乱れていきます。日常生活のルーティンに変調ももたらします。眠れなかった,食事がとれなくなったという症状を訴えるようになります。胃腸に異変が起こっているかもしれません。

②「欠勤」「アブセント」という日常生活の不調行動は,メンタル不調のサインです。遅刻,早退,欠勤…もう少し手前にいくと,普段はやっている服装,髪,お化粧などの身だしなみや振る舞いについても,いつもとは違うだらしなさが出てきます。生活の乱れが,仕事をするにあたっての基本的な事項に影響を与えてくるのです。

その結果,③「ミス」「アクシデント」が増えます。アポの時間を間違える,誤字脱字が多くなる,言ったこと言われたことを忘れる…といった具合です。そのような行き違いから,周囲の仲間や仕事上のトラブルが増えるでしょう。最悪の場合,大きな事故や問題へ発展することもあります。

これらは表にあらわれる「行動」ですので,企業側でも気を付けて見ていれば,「気づき」を得ることはできます。気づいて,声掛けをする。これがメンタル対策の第一歩と思います。

児相の一時保護 見極め長期化

2021年1月6日(水)日本経済新聞12版社会34面「児相の一時保護 見極め長期化」「虐待か事故か 1年超離れ離れも」

虐待関係の事件も扱った経験があります。加害者とされる親側の弁護をしたことも,児相から子どもを返してもらえないと訴えるキーパーソンとともに児相に働きかけをしたことも,いろいろです。

対応していて感じるのは,①児相の権限が強すぎるのではないか(←ここについては,もともと児相の権限強化をはかって法改正をした経緯もあり,批判もあろうかと思います。),②期限がなく先行きがわからない不安に親が悩まされている現状にもっと目を向ける必要があるのではないか,ということです。

記事のなかでは,限られた情報のなかでもすみやかな判断をする必要性に関する指摘と,一方で,短期間では子どもの本心を聞き出せず慎重な判断ができないという現場の声が紹介されています。

子どものこと,しかも生命身体健康にかかわることですので,慎重さは必要ですが,同じくらい幼少期のかけがえのない時間が奪われることの深刻さも感じます。バランスを考えつつも,間違っても重大事件につながらないようにすべきと考える児相のプレッシャーも大きいと思います。

それから,児相のほかに,虐待を「した」とされる側が,さまざまな相談をしたり勉強をしたりする専門の機関があればいいですね。私が知らないだけで,さまざまあるよという場合は,ぜひ教えてください。児相から子どもを返してもらえないと考えている親の中には,児相と話をする以外に方法が思い浮かばず,子どものために何をすればよいかがわからない人もいると思います。自分が子育てについて学びなおすということも重要と思いますが,こうした内容を専門にわかりやすく教育する機関があるといいですよね。

過ちは反省すべきだけど,その後の反省の深まりはしっかり感じられて,本人も改心していると感じている事案などでも,なかなか子どもと会わせてもらえず,返してもらえず,ということも経験しています。そういう場合でも,変えようのない過去に起こった事実については,やはり重視されますから,事後の情状がよいと思われても,なかなか返してもらえない。これに心を板見る親の側の弁護をしていると,それはそれで辛いところがあるものです。

厚生労働省が,2020年9月,一時保護に関する検討会を設置しているそうです。20年度中には,保護を開始・解除する際の判断方法や保護所内の環境づくり,通学の在り方などを幅広く検討して,まとめる予定だそうです。議論の深化を期待したいと思います。

お金に強い弁護士

FPジャーナルの1月号。

FPジャーナルは,AFPやCFP登録者に送付される,FPの専門誌です。

そのなかで,弁護士が,CFP資格を活かして活動する様子が紹介されていました。

「名刺にCFP認定者と記載しているので,金融機関や税理士の方など,FPを知っている人が見ると反応があることが多く,ブランディングにも役立っていると感じます。」

「お金関連にも強いことが証明でき,コンサルティング的な業務にもつながると思います。あとはそれをどうアピールし,仕事に活かしていくかにかかっていますね。」

私も,知識や工夫を深化させ,ブランディングを確立すべく,負けずにやっていきたいと思います!

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円満調停について

私が扱う業務のなかで,男女関係に関する業務,たとえば離婚調停や離婚訴訟なども,メインの業務のひとつです。

これら業務においては,個人とは,夫婦とは,親子とは,性とは,家族とはといった,人間の営みの根幹にかかわる部分を取り扱います。時代の動きとともに考え方も変わっているところであり,奥深い問題です。

弁護士が離婚事件を扱っていると,①法的に離婚できるかどうか,②親権や面会交流等,子どものことについてどうするか,③財産分与等,お金の面についてどうするか,といった点を整理していって,いったんは一緒になったご夫婦を,再び個々の生活として再スタートするための支援をしていくことが多いわけですが,弁護士は決して離婚させるために存在するものではありません。確かに,弁護士に委任するような事案は,相当にこじれていることが多いですので,離婚に進む割合が圧倒的に多いですが,たとえば夫婦関係調整調停の結末は離婚に限らず「円満調停」という結末だってあり得るわけでして,実際にそのような経験もございます。人の心ですから,揺れ動いて当然です。数は少ないにしても,私も最近数件の円満調停を経験し,思うところがありましたので,記事にしてみることにしました。

弁護士は,ご依頼者様の利益を尊重いたします。私は,「その人にとっての最大の利益」が大事だと思っていますので,その方が迷っていればじっくりとお話をお聴きし,決して結論を急がず,しかしその方が気になっている・不足している知識については,問われればしっかりと補うという役割を果たしていきたいと思っています。とはいえ,弁護士は,法的な解決,ことに財産関係の清算に関する処理には強いと思いますが,円満調停を目指すにあたって,どのようにすれば幸せな家庭を築けるか,問題が再燃しないようにできるかなどについては,法的な物差しでスパッと解決できるような問題ではなく,何をどこまで弁護士としてサポートできるのか,非常に悩ましいところです。特に,DV事案等,生命・身体の危機等が切迫している場合などについては,本人の意向に寄り添いつつも,その意向について客観的な状況に即したものになるように働きかけるべきと思われる場面もあるわけでして,対応は容易ではありません。

離婚に誘導するようなことも,修復の途を閉ざすようなこともしたくありませんが,ご依頼者様が弁護士に求めているニーズには応えたい。実際に,円満調停を目指す際には,「弁護士さん,やり直したいという気持ちもありますが,不安な気持ちもあります。どうしたらいいでしょうか。」「私は家族関係を修復したいと思っていますが,家族には反対の意見をもっている人もいるみたいです。何とかうまくできませんか。」といった質問もよくあります。弁護士の主観的なアドバイスが,変な方向に向かうことになってしまうのは避けたいですが,せっかくアドバイスを求められているのに,何も答えないのも心苦しい。非常に悩ましい問題です。ほかに,「正直,別れたい気持ちは強いですが,生活も大事ですので,今回は私が折れます。」といったやや後ろ向きなお気持ちを話される場合もありますが,このような場合,何がご依頼者様の利益なのか,非常に悩まざるを得ません。もちろん,ご依頼者様の意向に最大限添うように進めていくわけですが,(円満に解決する上で)よりよい解決はないかという悩みも尽きないところです。

こうした悩みを背景に,少しでも付加価値を付けられればと思い,家族関係にまつわる心理系の勉強も始めました(具体的に形になったら改めてご報告いたします。)。

ここでは,離婚を考えた場合に,離婚という結論を出す前に,考えていただきたい視点について,書いてみたいと思います。

まず,女性の場合。

やはり,離婚後の生活設計は重要です。生活費を稼ぐだけの職に就いているか,または就くところができるか。仮に離婚後は無職でも不動産賃貸や年金などの定期収入のほか,預金はあるか。財産分与,慰謝料,年金分割の見込みがあるかなどが重要になると思います。こうした経済面の考慮しつつも,離婚して独りになって生活しても,精神的に苦痛でないか。離婚し世間体が悪くなっても気にすることがないか。離婚した結果,絶対に後悔しない自信があるか,などといったことを考えてみてください。これは個人的な意見ですが,離婚を選択するのであれば,「離婚して必ず幸せになってみせる」という確固たる意思を持つことが重要と思います。

次に,男性の場合。

男性の場合,経済力うんぬんというより,足元の生活にどれだけ支障が生じ得るかということが目下の課題になることが多いと思います。炊事,洗濯,生活費の支払関係などをすべて自分でこなすことができるのか。親の介護が必要になった時,責任をもってそれに対応することができるのか。別れて養育費,財産分与,慰謝料を妻に払っても,経済的に余裕があるか。こうした点が問題になりやすいと思います。前半部分は,妻お家政婦のように考えているのか!と怒られそうですが,むしろどれだけ妻に助けてもらっているのかを自覚する機会をもつべきではないかということです。また,会社にもよるでしょうが,まだまだ日本の企業が,従業員の私生活にまで完全に配慮できているとは言い難い面は否定できないでしょうから,こうした現実を踏まえ,自身の勤務先との折り合いがつけれそうかどうかなども検討をせざるを得ないと思われます。生活面についてある程度検討出来たら,以下も検討してみましょう。離婚という世間体のまずさが,出世を阻むようなことはないか。又は阻むことに抵抗はないか。離婚して独りになっても食生活に気を付け,身だしなみもきちんとできるか。離婚して独りになっても,何のために働くかなど,自分なりの生きがいを見つけることはできるか。

私もさらに考えていきますが,ご参考ください。

以下は,どちらかの立場で活動する弁護士としては,少なくとも事件処理の際は,表立って言うことはできないのかもしれませんが…

「離婚は結婚の●●倍も大変だ」とはよくいったもので,離婚事件を扱う弁護士としては,離婚がいかに大変かというのも身にしみて感じています。やむなき事情でどうしてもさよならしなければならないという場合には,(理想論と言われるかもしれませんが,)ぜひとも,お互いに幸せになれるような,前向きな離婚を目指してほしいと思いますし,夫婦関係を修復するという道も立ち止まって考えていただくことも十分にあり得ると思います。

最も身近な人間の営みであるがゆえ,深く,難しい。そんな離婚事件ですが,今後も研鑽を深めて頑張っていきたいと思います。

レビュー 損害保険代理店の教科書

有限会社プリベント代表取締役森和彦著「損害保険代理店の教科書」

弁護士業と保険代理店業というのは,結構共通点があるんですね。最低限,パソコンと電話があれば開業できますし,会社や組織などに顧客がつくというより,営業マン個人にお客がつくといった特徴も類似していると思います。隣接業といってもよいかもしれません。そんな異業種の活動を知っておくのは,必ずや弁護士業にとってもプラスになると考えており,いろいろと勉強しています。私の場合,交通事故事件を受任することも大変多いですので,その意味でも,勉強する価値は大きいでしょう。そんなあけで,ジャケ買いしたとある本についてのレビューを書いてみます。

全体的には,やはり,共通点が多いからか,ふむふむなるほどという業務の工夫も多く,ぜひ参考にしたいと思いました。

仕事は楽しくやるべきという自論,そのとおりと思います。著者によると,「ほぼ残業がない」「周囲の人や環境に恵まれている」「ノルマとの付き合い方を知っている」ということですが,楽しく仕事をしていれば周りに人は集まってくるし,よいときも悪いときもある人生においては長期的な視野でみて,イチイチくよくよしないということでしょうか。

仕事を楽しむためのセルフマネジメント。①遊び心を持つこと,②短所を克服するより,長所を伸ばすこと,③自分のやり方を見つけたら,その手法に磨きをかけること,などが紹介されています。P・F・ドラッカー博士も,「マネジメント」のなかで,「人のマネジメントとは,人の強みを発揮させることである」と述べています。この点は,長所をさらに伸ばすのには相当のパワーが必要という面もあり,短所は比較的(そこそこのレベルまでは)克服しやすいという面もあるとは思いますが,楽しく仕事をする上では,長所に磨きをかけるのは大事なことですね。

著書のなかでは,繰り返し,「クライエントへの情報提供の重要性」が述べられています。情報提供するだけではなく,手厚くフォローする必要性も。弁護士は,「紛争の解決」を商品とする仕事であるがゆえ,こちらから働きかけるのがはばかれる面があります。こちらから,紛争をたきつけるようなことがあってはいけませんし,余計なおせっかいは厳に慎むべきと考えています。とはいえ,人の役に立つ,有益な情報であれば,それを発信する社会的な意義も大きいことでしょう。売り込み営業は厳に慎みつつも,有益な情報発信のため,日々努力しておられるというのは,非常に共感を覚えたところです。営業の仕方は,「嫌われる迷惑訪問」から「感謝される情報提供」へ。肝に銘じてやっていきたいと思います。著書のなかでは,業界に特化した情報を極めて,それを情報提供するという方法(たとえば,美容室業界の情報を極めて,美容室の開業資金の作り方から,有利な店の立地,美容室の雇用環境問題のことまで,とにかくありとあらゆる美容室の困りごとを解決する方法を知り尽くしている税理士のことが紹介されています。)が述べられています。私も見習いたいところです。業界でいうと,介護・医療業界(地方でニーズが高いと思われる高齢者関係のもの)についての勉強を進めていますが,私もこの税理士のように活躍できるよう努力したいと思います。

年賀状よりもバースデーカードを,という点には,はっとさせられました。生命保険の営業マンですが,毎年誕生日にはがきに一言添えて送ってくださる方がいます。やばり,その方が,生命保険関係で1番親しくしている営業マンですね。その他,何かのきっかけでランチ等ご一緒したり,契約をさせていただいたりした場合に,必ず,はがきを送ってくださる損保代理店の営業マンもいます。この方の場合,毎回「ありがとうございます」と大きく印字されたはがきで,それ自体は毎回同じなのですが,やはり一言付していただいた上でいただくので,非常に印象に残ります。私も真似しようと思いつつ,はがきの準備さえしないまま過ぎて行ってしまっていますので,今年こそ始めようと思います…

SNSは,ソーシャルセリング(SNSで見込み客と会話をしたり,コンテンツを提供したりするすることで,購買を促していく手法)ではなく,既存顧客との関係強化のために使うべき,という考え方も,参考になります。何かと宣伝がましい記事を書いてしまいがちになりますが,慎んだ方がよさそうですね(笑)。

商品説明はわかりやすさが命。できるだけ身近な例で説明する。などといったことも非常に共感できるところ。業界紙に目を通そうという考え方も,非常に参考になりました(ちなみに,保険関係の専門誌は,「全国紙新日本保険新聞」「保険毎日新聞」などだそうです。)。

私も,幣所も,ますます進化するため,隣接業種の取り組みも参考にしていきたいです。