私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。
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高齢者の交通事故1
幣所では,交通事故の取扱い件数が多いです。さらに,地域柄,高齢者の事故にも,比較的多く触れます。高齢者の事故は,一般成人の事故と比べて特有の問題もあり,これをまとめておくのは有益と思いますので,何度かに分けて,記事にできればと思います。
今回は,高齢者の家事労働に関する損害について。
これまでできた他人のための家事労働ができなくなったという点を損害評価できることは,比較的固まった考え方になってきています。高齢者の家事労働の場合,以下のような問題があります。
①家事労働につき逸失利益が認められるためには,他人のための家事労働を行っているといえることが必要であるが,たとえば高齢の二人暮らしの夫婦の場合には,その家事労働が「他人のための家事」といえるのか,単に自分自身の生存のための生活行為に過ぎないのか,評価が困難という問題がある。
→これについては,三庁共同提言が,一定の指針を示しています。
たとえば,
夫と二人で年金生活をしている88歳の専業主婦については,88歳という年齢及び夫と二人で暮らしていることを併せて考えると,そこにおける家事労働は,もはや自ら生活して行くための日常的な活動と評価するのが相当であり,逸失利益は認められない。
夫と二人で年金生活をしている74歳の専業主婦については,平均余命の半分の7年間は家事労働を行うことができ,これを金銭評価するのが相当である。
②高齢者の場合,健康状態や通院等による家事労働の制約があったり,仮に健康であったとしても全般的な体力等の低下がみられ,その家事労働につき通常の主婦と同程度の金銭的評価を与えてよいかという問題がある。
→これについても,三庁共同提言が,一定の指針を示しています。
基礎収入は原則として全年齢平均賃金による。ただし,年齢,家族構成,身体状況及び家事労働の内容などに照らし,障害を通じて全年齢平均賃金に相当する労働を行い得る蓋然性が認められない特段の事情が存する場合には,年齢別平均賃金を参照して適宜減額する。
上述のように逸失利益を肯定する場合,年齢と生活状況を併せて考えると,その間の家事労働を平均して金銭評価すれば,女性65歳以上の平均賃金の70%に相当する金額とするのが相当である。
なお,死亡事故の場合に,家事労働の逸失利益を認める際にも,生活費控除率は,一般の場合(赤い本の基準だと女性は30%)よりも生活費控除率を大きくする場合があります。理由は明確ではないものの,たとえば,配偶者を亡くした高齢者の生活環境をむしろ(独身)男性に近いものと捉えて生活費控除を考えていたり,高齢者の場合一般に基礎収入が定額になることや,年金逸失利益算定における生活費控除率が一般に高く認定される傾向にあることなどが影響しているようです。
児相の一時保護 見極め長期化
2021年1月6日(水)日本経済新聞12版社会34面「児相の一時保護 見極め長期化」「虐待か事故か 1年超離れ離れも」
虐待関係の事件も扱った経験があります。加害者とされる親側の弁護をしたことも,児相から子どもを返してもらえないと訴えるキーパーソンとともに児相に働きかけをしたことも,いろいろです。
対応していて感じるのは,①児相の権限が強すぎるのではないか(←ここについては,もともと児相の権限強化をはかって法改正をした経緯もあり,批判もあろうかと思います。),②期限がなく先行きがわからない不安に親が悩まされている現状にもっと目を向ける必要があるのではないか,ということです。
記事のなかでは,限られた情報のなかでもすみやかな判断をする必要性に関する指摘と,一方で,短期間では子どもの本心を聞き出せず慎重な判断ができないという現場の声が紹介されています。
子どものこと,しかも生命身体健康にかかわることですので,慎重さは必要ですが,同じくらい幼少期のかけがえのない時間が奪われることの深刻さも感じます。バランスを考えつつも,間違っても重大事件につながらないようにすべきと考える児相のプレッシャーも大きいと思います。
それから,児相のほかに,虐待を「した」とされる側が,さまざまな相談をしたり勉強をしたりする専門の機関があればいいですね。私が知らないだけで,さまざまあるよという場合は,ぜひ教えてください。児相から子どもを返してもらえないと考えている親の中には,児相と話をする以外に方法が思い浮かばず,子どものために何をすればよいかがわからない人もいると思います。自分が子育てについて学びなおすということも重要と思いますが,こうした内容を専門にわかりやすく教育する機関があるといいですよね。
過ちは反省すべきだけど,その後の反省の深まりはしっかり感じられて,本人も改心していると感じている事案などでも,なかなか子どもと会わせてもらえず,返してもらえず,ということも経験しています。そういう場合でも,変えようのない過去に起こった事実については,やはり重視されますから,事後の情状がよいと思われても,なかなか返してもらえない。これに心を板見る親の側の弁護をしていると,それはそれで辛いところがあるものです。
厚生労働省が,2020年9月,一時保護に関する検討会を設置しているそうです。20年度中には,保護を開始・解除する際の判断方法や保護所内の環境づくり,通学の在り方などを幅広く検討して,まとめる予定だそうです。議論の深化を期待したいと思います。
AFP登録
AFP登録しました。
FP2級試験を受けた上,必要なカリキュラムを修了した場合に登録できる資格になります。
より深くお金のことについて学んでいけるものと思います。
私が扱う業務は,ほとんどが財産法にかかわる問題です。どんな事件でもお金に関する問題は出てくるもの。
これまで以上に深いアドバイスや幅広い対応力を発揮できるよう,精進してまいります。
法律のイメージ
日経新聞の名物コラム「私の履歴書」。
少し時間がたってしまいましたが,11/4(水)のコラムに興味深い記載がありましたので,ご紹介を。
三菱総合研究所理事長・小宮山宏氏の記事が展開されています。私が注目したのは。大学生のときの,法学を学んだときの話。
「法学も面白かった。教えてくれたのは伊藤正己教授。後に最高裁判事になる方である。最初の講義で「法律は言葉で表すが,言葉で全部書けるものではない。言葉の意味は時代によって変わるし解釈だ。結局,どう解釈するかで決まるから,判例の積み重ねで社会の法的秩序は維持されている」と述べられた。抱いていた法律のイメージが崩れた。」
もともと,法律にどんなイメージをもっていらっしゃったのでしょうね。何でもカチっと決まっていて,決まった法律の条文を読めば何でも解決するといったようなイメージでしょうか?そうであるとすれば,私も,確かに,勉強する前は,六法全書を全部覚えて,その知識で何でも対応できるのだろうくらいのことを考えていました。でも,世の中と人間いうのは,知れば知るほど複雑で,一筋縄ではいかなくて,法律も人間生活を円滑にした梨よりよくしたりするための道具でしかない。その法律も穴があることも多く,そのときは道具である法律そのものを変えていく。日々動いている法律の世界は,難しく,それでいて面白いものだと思って,実務に取り組んでおるところです。
伊藤正己教授の言葉となると,(主に法曹関係者において,)興味を惹かれる方もおられるだろうと思い,ご紹介いたしました。