私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

もう失敗しない遺言・相続対策セミナー

令和4年2月6日(日)午前10時45分~午前11時45分,豊前市市民会館中会議室にて,弊所主催の「もう失敗しない!遺言・相続対策セミナー」を開催しました。

この週末は,雪まで降るような寒さの強い週末になりましたが,それにもかかわらず,想定していた人数をはるかに超える参加者にお集まりいただき,約15名の方々にお聞きいただきました。いつまでも学ぼうとする姿勢に頭が下がります。場所を当初予定していた小会議室から中会議室へと変更したり,換気を実施したり,検温・手指消毒を実施したり,ソーシャルディスタンスを保つように呼び掛けたり,あまり向き合わないですむような配置にしたり,パーテーションを用意したりと,考えられるコロナ対策はバッチリ行ったつもりです。今後も企画いたしますので,引き続き安心してご参加いただければと思っています。

盛りだくさんの内容をお話しいたしまして,時間との兼ね合いや話す分量については再検討の余地はあるかと思いますが,セミナー後に数名の方とお話しをした限りでは,みなさましっかりお聞きいただいていたようで,大変ありがたいと思いました。

セミナー特典として,遺言・相続サポートネットや,無料法律相談を実施しています。引き続き,1つでも幸せな相続が実現できるよう,精進していきたいと存じます。

介護職員初任者研修 修了

実は,随分前から(1年以上前から),「地域柄高齢者が多いので介護に関する問題も生じるかもしれない」「対応に当たって現場の方がとっている最低限の知識ぐらいはもっておきたい」と思って,介護職員初任者研修を受講していました。旧ホームヘルパー2級に相当する資格です。ところが,もう少しで受講修了というところで,コロナ関係でアクシデントがあり(注:私が感染したという意味ではありません,念のため。),その関係でその後のスケジュールがかみ合わなくなって,予定合わせに苦慮しながら,先般,ようやく修了することができました。

全15回,おおむね1回が8時間前後。課題や試験あり。やってみて,仕事しながらの受講は,結構きつかったなーと思いました。私だけでなく,現職の介護者ではない,将来のことを考えて仕事をしながら受講している方もそれなりにおり,その姿勢に感動しました。

受講のなかみは,実際の介護で役立つというのはもちろんでしょうが,高齢者のかかりやすい疾患について広く知識を得られたり,特に今は必要であろう感染症及びその対策に関する知識なども得られて,非常に有意義だったのではないかと思っています。よい仲間も得て,今後ますます,高齢者分野の対応に力を入れていきたいと思います。 enter image description here

「介護疲れ」90歳母殺害 大分合同新聞 2021年6月2日25面

今朝,新聞を見ていますと,ショッキングなタイトルが目に入りました。

「「介護疲れ」90歳母殺害」 大分合同新聞 2021年6月2日25面 です。

逮捕段階で,詳細はこれから捜査するのでしょうから,内容には言及しませんが,記事の最後に載っていた,「「地域の中で孤立していたのだろうか。」70代の女性は語った」という一文もインパクトがありました。

幣所は,高齢者の多い地域のなかで,介護業界に密着した活動をしたいと考えています(現在,業界に特化したHPも作成中です。)。地域包括ケアシステムのなかに,法務の専門家としてお力添えできれば…と思っています。今回の事件の記事を見て,改めて,介護というのがときに過酷な世界なのだと思い知らされ,改めて,このような事件がなくなっていくよう,陰で支える一員になれたらという思いを新たにしました。

生活実態,事件に至る経緯などが気になるとことです。事件の経過はこれからも追いかけていきたいと思います。

任意後見契約について

最近,任意後見契約に関する相談・公正証書作成の相談が増えています。

任意後見制度は,本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に,将来自己の判断能力が不十分になったときの後見事務の内容と後見する人(任意後見人)を,自ら事前の契約(公正証書)によって決めておく制度です。

その効力は,契約時に発生するのではなく,本人の判断能力が不十分となり家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから始まります。

注意点は,公正証書にしないといけないこと。

①将来に備えて,今は効果が発生しないけど,契約だけしておくという「将来型」

②まだ契約を結ぶ能力はあるが,体調次第ですぐに任意後見監督人の選任が必要というような状態で作成する「即効型」

③能力がある間は委任契約として財産を管理してもらい,認知機能が落ちたら任意後見人として財産を管理してもらう「移行型」

などがあります。

法定後見には原則として任意後見が優先しますが,本人の利益のために特に必要があるときに限り,法定後見開始の審判をすることができます。

①任意後見契約の締結に係る公正証書の作成などの費用,②任意後見人が活動するにあたっての経費・報酬,③任意後見監督人が活動するにあたっての経費・報酬がかかります。②の報酬は契約によって定められ,③の報酬は裁判所が定めます。

任意後見契約に盛り込むべき内容としては,委任者の生活,療養看護または財産の管理に関する事務を委任事務内容にすること,公正証書の契約書を作成すること,任意後見監督人が選任されたときから契約の効力が生ずることなどです。逆に,盛り込めないのは,一身専属権の代理などです。たとえば,遺言や離婚,認知,養子縁組など。遺言は判断能力があるときに本人が別途作成しておくべきです。

任意後見監督人は,①任意後見人の事務を監督する。②任意後見人の事務に関し,家庭裁判所に定期的に報告をする。③急迫の事情がある場合に,任意後見人の代理権の範囲内において,必要な処分をする。④任意後見人またはその代表する者と本人との利益が相反する行為について本人を代表する。という役割があります。

今後もっと利用が増えていきそうですね。

遺言書保管制度

私は言っています。いつも言っています。セミナーなどで「遺言は大事ですよ。」と。

…言ってる私が書いてないと,説得力ないですよね。

はい。私も書いています。

この前は,住宅建築にあわせ,財産目録を作成し,特技の書道を活かして自筆証書遺言を作成。さっそく,新設された法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用して保管して参りました。

使い勝手は…まあまあですかね。

事前予約制であり,基本的にはインターネット予約なので,PCやスマホに不慣れな方はつらいかも。などと言いながら,私は直接電話をかけて予約を取りました。事前に,申請書を作成した上で,必要書類(遺言書原本,住民票,免許証などの身分証明書)を用意して管轄の法務局に赴きます。書類を渡すと,以前に遺言があるかとか、いろいろと調査が必要らしく,結構待つことになります。30分~1時間は待ったでしょうか。何かしら内職道具を持っていくべきですね。私はずっと本を読んでました。

なぜ,公正証書遺言ではなく自筆証書遺言なのかと言われそうなので…

私はまだ30代ですし,これから遺言を書きなおす機会は何度もあるかなと思います。現段階では、簡単な全部相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)でいいかなと思って,今回は,自筆にしました。自筆のデメリットは,無効になるリスクが相対的には高いところですが,私は一応専門家ですし,デメリットが表に出ない簡単な内容の遺言なら問題ないかなと思いました。

書き直す際は,公正証書を利用したいと思います。そのうち,税理士などと相談しながら,節税のプラニングなどもやっていきたいですね。人にするアドバイスを深めるには,自分もやってみるのが1番ですから。

保管制度を利用したのはどうしてか。

経験上思うのですが,「検認」という手続はあまり知られていないようで,実際,そんなにたくさんはお目にかかりません。事実上やってないで遺産分割をしていることもあるようです。保管制度を利用すれば,検認が不要になります。これは大きなメリットではないかと思います。検認にも1~2か月前後の時間と多少の費用(印紙代や郵券代)などがかかりますが,保管制度は3900円で済みます。

自筆証書遺言のデメリットとして,従来,紛失のおそれとか,発見されないかもとか,死後に改ざんの有無をめぐって争いになるかもとか,いろいろ言われていましたが,保管制度によってこれらはクリアできるようになりました。

今回,確認まではしませんでしたが,保管後も,タブレット端末等による閲覧は1400円,原本の閲覧は1700円の手数料でこれを確認できるようです。

法務局は,遺言の内容には口出ししないので,なかみを見てほしいというニーズには答えられないという面はございます。しかし,私の場合,こんなことがありました。恥ずかしながら,ドヤ顔で書いた遺言の日付が,「令和」ではなく「今和」になっていたのです(泣)。全く気がついておりませんでしたが,法務局から「このまま保管もできますが,有効性については法務局は何とも言えません。点を打つだけなので,点を打った上で保管もできます。どうなさいますか。」と言われました。点を打ったのは言うまでもありません。遺言書は,複数ある場合,日付が最新のものが有効になりますから,日付はとても重要な要素で,下手すれば無効原因になりかねません。まあ,誤記なのは明らかなので,裁判所では救済されるとは予想しますが,そもそもそんな危ない橋を渡る必要もないし,問題のない遺言がいいに決まっています。形式的なところに関しては,事実上,指摘してもらえるという効果が期待できると思います。

私がやや煩わしいと思うのは,氏名や住所が変更された場合届出が必要なことくらいでしょうか。マイナンバーカードを取得しましたが,これで何とかならんのですかね…

本人が出向かないと手続ができないのは,デメリットというかどうかという問題がありますが,こういうことがありました。遺言を書くことを希望していた方がいたのですが,認知機能ははっきりしているものの,重い病気で,話をすることもままならないような状態の場合です。保管制度のご案内などもいたしましたが,奥様が相談にいったところ,本人でなければ難しいと言われたそうです。そうなんでしょうが,このようなケースではデメリットになるんでしょうね。公正証書のように,担当官が赴いて保管してくれるというところまではないようです。

以上,実体験をもとにつらつらと書きましたが,多少の待ち時間が生じることや氏名住所の変更の届出のわずらわしさなどを除けば,基本的には使い勝手のよい制度と言えるのではないかと思いました。今後,利用が促進されることを望みます。

なお,遺言書を保管すると,添付のような書面をいただけます。これが,遺言の代わりになる書類なので,大切に保管しておいてくださいということでした。

新しい制度ですので,利用者の生の声はぜひ参考にさせていただきたいです。利用いただいた方がいれば,こっそり私に感想をご教示いただけますと幸甚です。

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レビュー 恍惚の人

豊田四郎監督「恍惚の人」

有吉佐知子の名作を映画化!…とはいえ、この映画の情報を得るまでは、原作も知らなかったのですが。

きっかけは、長谷川式スケールで有名な長谷川先生の著書に触れたことです。認知症の歴史についても深く記述がされていました。この「恍惚の人」の原作がベストセラーとなり、映画化もされ、未だ「老人性痴呆症」「ボケ」などと言われていた時代、認知症や介護の問題につき提起し、政治でも取り上げられるようになったという流れがあるようです。

映画は全編白黒で、それこそ時代を感じさせますし、認知症患者と家族のかかわりというテーマからして、淡々と進んでいくような映画ですが、認知症のお義父さんの迫真の演技、これを介護する嫁(以前はお義父さんにいびられていた)のまた迫真の演技は見どころたっぷりでした。お義母さんの死をきっかけに、お義父さんに認知症の症状があらわれる。自分が食事をしたことを忘れ、すぐに腹が減ったといい(短期記憶の障害?)、息子の顔さえ忘れ、夜中に大騒動し(幻覚?)、息子を暴漢と間違え(妄想?)、「こんなばあさん知らん」と発言し(失見当識?)、徘徊し、骨壺内の妻の遺骨を食べようとし(異食)、急に怒り出し、便を周囲に塗りたくる。原作者は10年ほど取材して作品を世に出したそうですが、とてもリアルで勉強になりました。

衝撃を受けたのは、夫の役に立たなさ。「しょうがないじゃないか、親父はオレの顔も忘れてるんだから」「もう、殺してやれば」などと言って、すべて妻(嫁)に介護を押し付けている。いや、コレ、言っちゃったら私、妻に何を言われるか…他人ごとではないですね。横で一緒に見ていた妻が冷ややかな視線を向けており、他人事として処理をしてはいけないと自分を戒めました。

介護で疲弊して可哀そうな状態の際に、お義父さんが風呂場でおぼれかけ、「法的には、過失致死罪になるのよ。」などと発言しているところを見て、従前はいびられていたのに、これだけ身を粉にして介護して、挙句法的責任だけは負わされるのか…といたたまれなくなりました。

いまみても非常に勉強になる古典だと思いました。さまざまな問題点への気づきが得られます。DVDを購入したら映画評論家・佐藤忠男さんのコメントもついており、理解も深められました。おすすめの一作。次は原作を読んでみようかと思います。

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「争族」の火種~相続法改正編~つづき

相続法改正がもたらす(かもしれない)争族の火種のつづきです。

自筆証書遺言が,法務局で保管できるようになります。ただし,内容の不備がある場合は無効ですので,この点の火種は残ります。また,そもそも,法務局での保管申請は自分でしないといけないので,元気なうちに預けないと,やりたくてもやれない状況になるかもしれません。

遺留分もかなり劇的に改正されました。これまでは,遺留分減殺請求をすると,遺留分(自分の最低限の持ち分)は自動的に自分に帰属してました。不動産も持ち分の分だけ共有になっていました。これが事業承継の障害になっていると不評だったため(注:たとえば,遺産が事業用の不動産くらいしかない場合,実際のところ,跡取りの息子が全部取得しないと,事業の基盤が揺らぐことになりかねません。それにもかかわらず,事業と関係のない親族が不動産の共有者になってしまいます。他,非上場の自社株式くらいしか遺産がない場合,遺留分減殺請求により,経営権が分散することになりかねず,企業の意思決定にかなりの支障を生じます。),金銭債権化,つまり,お金として請求することしかできなくなりました。これは,裏を返せば,お金を払わないといけないわけでして,これを用意できないような場合も多く出てくるのではないかと予想されます。そうすると,結局,先祖代々の不動産を売却してお金をねん出するしかなくなることもあるかもしれません。

特別寄与料請求権は,従前遺産分割の中で寄与分として検討していたものを,遺産分割から切り離して金銭請求のみできるようにしたものです。この請求期間が6か月と短いですが,遺産分割がまとまっていないであろうこの時期に特別寄与料を請求したら,それが原因で遺産分割も紛糾するという事案が出てくるのではと懸念されます。しかも,特別寄与料をもらった人が,配偶者と一親等の血族以外の人であった場合,2割加算の対象となるため,相続税も多めに払う必要が出てきます。

相続法改正により,よくも悪くも,いろいろな面に影響が出てくるでしょうから,改正前,改正経緯,改正後の実務をよく勉強して,適切な対応ができるよう努めていきたいと思います。

「争族」の火種~新型コロナ/相続税改正編~

新型コロナと相続。一見関係なさそうな2つが,実は新たな火種を呼んでいるそうです。どういうことか。相続税評価は今年の1/1時点の「路線価」で評価されます。コロナの影響は織り込んでない価格です。しかし,いま相続が発生したら,いま不動産の価格は下落する一方のようなので,実際の相続では評価の下がった不動産しかもらえないのに,相続税は高騰していた頃の評価で納めないといけないという形になります。コロナの影響がこんなところにも。

2019年7月(注:遺留分侵害額請求権が金銭債権化されました。寄与分制度が特別寄与料請求権になりました。故人の口座の預貯金の仮払い制度ができました。特別受益となる贈与に時効を創設しました。結婚20年以上の夫婦の自宅贈与を遺産分割の計算対象外とできるようになりました。),2020年4月(注:配偶者居住権が創設されました。)に始まり,2020年7月にも新法が施行される(注:自筆証書遺言が法務局で保管できるようになります。)改正相続法も,場合によっては,新たな火種となり得る様です。

たとえば,預貯金の仮払い制度。今までは相続人全員の印がなければ払い戻しができないのが通常でしたが,1行150万円を上限に,相続人単独で預貯金の払い戻しができるようになりました。預貯金が遺産分割の対象になるという最高裁判決の変更に伴い,遺産分割がまとまるまでいつまでたっても払い戻しができずに,たとえば相続税を払えない相続人が出て困窮してしまうことなどを回避すべく導入されたものと思いますが,逆に言えば,相続人1人の判断でさっと払い戻してしまって,後で相続人間で揉めることが考えられます。

配偶者居住権は,配偶者と他相続人があまり仲の良くないケースを想定して,本来は配偶者を保護する制度として創設されました。しかし,いま,節税目的での利用に注目が集まっていると言います。配偶者居住権は,原則として配偶者の死亡時に消滅します。二次相続まで考えると次のようになります。一時相続:配偶者居住権を設定。結果不動産の価値が減少。配偶者は配偶者控除があるため,ほとんどの場合,配偶者居住権(居住権)の取得に相続税がかからない。子どもは,価値の減少した不動産(所有権)を相続。評価の下がった不動産分の税金を納めればよいことになり,節税になる。二次相続:残った配偶者が亡くなると,原則として配偶者居住権は消滅する。二次相続では相続の対象にならない。不動産の所有権は既に子どもが取得しているため,相続税は課されない。トータルで見ると,配偶者居住権を利用しないケースより節税になる。

しかし,配偶者居住権は1度設定すると基本的に譲渡,売却できず,資金化できなくなるので,老人ホームへの入所資金など工面に困ることもあり得るようです。配偶者居住権の途中解除はできますが,所有者に贈与税がかかりますので,新たな火種になり得る様です。

ボクはやっと認知症のことがわかった レビュー

長谷川和夫「ボクはやっと認知症のことがわかった」

あの「長谷川式スケール」の長谷川さんです。有吉佐和子「恍惚の人」が社会問題を引き起こした頃,長谷川さんは一所懸命に,簡易的に認知症かどうかがわかるテストの開発に明け暮れていたようです。長谷川式スケール開発秘話というのも面白かったですし,これまでの認知症の歴史がよくわかりました。認知症とは何かという本質論について,長谷川さんは,「暮らしの障害」だと言います。「認知症になったからといって,人が急に変わるわけではない。自分が住んでいる世界は昔もいまも連続してるし,昨日から今日へと自分自身は続いている」という言葉も含蓄がある。目に見えない,わかりにくい障害について,第一人者として,自分自身が1人の認知症患者として,淡々と,しかし力強く,考えと想いをつづった一冊と思いました。福祉関係者必読の一冊。

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