私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

遺言書保管制度

私は言っています。いつも言っています。セミナーなどで「遺言は大事ですよ。」と。

…言ってる私が書いてないと,説得力ないですよね。

はい。私も書いています。

この前は,住宅建築にあわせ,財産目録を作成し,特技の書道を活かして自筆証書遺言を作成。さっそく,新設された法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用して保管して参りました。

使い勝手は…まあまあですかね。

事前予約制であり,基本的にはインターネット予約なので,PCやスマホに不慣れな方はつらいかも。などと言いながら,私は直接電話をかけて予約を取りました。事前に,申請書を作成した上で,必要書類(遺言書原本,住民票,免許証などの身分証明書)を用意して管轄の法務局に赴きます。書類を渡すと,以前に遺言があるかとか、いろいろと調査が必要らしく,結構待つことになります。30分~1時間は待ったでしょうか。何かしら内職道具を持っていくべきですね。私はずっと本を読んでました。

なぜ,公正証書遺言ではなく自筆証書遺言なのかと言われそうなので…

私はまだ30代ですし,これから遺言を書きなおす機会は何度もあるかなと思います。現段階では、簡単な全部相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)でいいかなと思って,今回は,自筆にしました。自筆のデメリットは,無効になるリスクが相対的には高いところですが,私は一応専門家ですし,デメリットが表に出ない簡単な内容の遺言なら問題ないかなと思いました。

書き直す際は,公正証書を利用したいと思います。そのうち,税理士などと相談しながら,節税のプラニングなどもやっていきたいですね。人にするアドバイスを深めるには,自分もやってみるのが1番ですから。

保管制度を利用したのはどうしてか。

経験上思うのですが,「検認」という手続はあまり知られていないようで,実際,そんなにたくさんはお目にかかりません。事実上やってないで遺産分割をしていることもあるようです。保管制度を利用すれば,検認が不要になります。これは大きなメリットではないかと思います。検認にも1~2か月前後の時間と多少の費用(印紙代や郵券代)などがかかりますが,保管制度は3900円で済みます。

自筆証書遺言のデメリットとして,従来,紛失のおそれとか,発見されないかもとか,死後に改ざんの有無をめぐって争いになるかもとか,いろいろ言われていましたが,保管制度によってこれらはクリアできるようになりました。

今回,確認まではしませんでしたが,保管後も,タブレット端末等による閲覧は1400円,原本の閲覧は1700円の手数料でこれを確認できるようです。

法務局は,遺言の内容には口出ししないので,なかみを見てほしいというニーズには答えられないという面はございます。しかし,私の場合,こんなことがありました。恥ずかしながら,ドヤ顔で書いた遺言の日付が,「令和」ではなく「今和」になっていたのです(泣)。全く気がついておりませんでしたが,法務局から「このまま保管もできますが,有効性については法務局は何とも言えません。点を打つだけなので,点を打った上で保管もできます。どうなさいますか。」と言われました。点を打ったのは言うまでもありません。遺言書は,複数ある場合,日付が最新のものが有効になりますから,日付はとても重要な要素で,下手すれば無効原因になりかねません。まあ,誤記なのは明らかなので,裁判所では救済されるとは予想しますが,そもそもそんな危ない橋を渡る必要もないし,問題のない遺言がいいに決まっています。形式的なところに関しては,事実上,指摘してもらえるという効果が期待できると思います。

私がやや煩わしいと思うのは,氏名や住所が変更された場合届出が必要なことくらいでしょうか。マイナンバーカードを取得しましたが,これで何とかならんのですかね…

本人が出向かないと手続ができないのは,デメリットというかどうかという問題がありますが,こういうことがありました。遺言を書くことを希望していた方がいたのですが,認知機能ははっきりしているものの,重い病気で,話をすることもままならないような状態の場合です。保管制度のご案内などもいたしましたが,奥様が相談にいったところ,本人でなければ難しいと言われたそうです。そうなんでしょうが,このようなケースではデメリットになるんでしょうね。公正証書のように,担当官が赴いて保管してくれるというところまではないようです。

以上,実体験をもとにつらつらと書きましたが,多少の待ち時間が生じることや氏名住所の変更の届出のわずらわしさなどを除けば,基本的には使い勝手のよい制度と言えるのではないかと思いました。今後,利用が促進されることを望みます。

なお,遺言書を保管すると,添付のような書面をいただけます。これが,遺言の代わりになる書類なので,大切に保管しておいてくださいということでした。

新しい制度ですので,利用者の生の声はぜひ参考にさせていただきたいです。利用いただいた方がいれば,こっそり私に感想をご教示いただけますと幸甚です。

enter image description here


ブロガー: 弁護士西村幸太郎

豊前の弁護士です。