私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

汽車ポッポ

中津市は,豊前市に(正確にいうと吉富町をはさんで)隣接する,経済的・文化的に一体といえる地域です。

そんな中津市の名所をご紹介いたします。

現在の中津市は,耶馬渓の地域も含めた広大な地域となっています。その耶馬渓では,雄大な自然を背景に,耶馬渓鉄道が息づいていました。残念ながら現在これに乗って旅をすることはできませんが,耶馬渓鉄道を味わいながら一夜を過ごせる場所があります。

それが,「汽車ポッポ」です。

建物の外観からして面白い。万田の幹線道路沿いに,インパクトのある列車・SLを眺めることのできる食堂を認めることができます。この食堂に加え,民宿,別邸と,用途にあわせてさまざまな利用ができる一風変わった施設となっています。

なかでも,別邸は,昨年末にオープンしたばかりで見どころたっぷり。

宿泊施設ですが,ドアをあけると,なんと列車丸々一両が収納されています。列車のなかにくつろげるスペースやベッドなどが用意されており,息子でなくてもワクワクするスペースです。

3棟の施設,3台の列車,3つの内装を楽しむことができ,比較してみるのも面白そう。

製作は住友林業さんのようです。丈夫な木で,余計な柱を利用せずに,見通しのよい施設を作れるのが強みと思いますが,その強みを生かして,列車を収納できる,見通しのよいハコを用意してくださってますね。別途の椅子や桶の要らないお風呂や,こだわりの調度品,チェア・サイドテーブルなど,細かなところも含めて,贅沢な作りでした。 住友林業さんのモデルルームのような役割も果たすかもしれませんね!

コロナ関係の動向は引き続き気を付けなければならないのはもちろんですが,別邸は貸し切りで人が集合するような場所ではなく,籠るのにもいいかもしれないですね。密を避け,予防にも力を入れつつ,地域の良いところを楽しんでいけるとよいのかなと思います。

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中津中学校 出前授業

令和3年2月9日,中津中学校へ行ってきました!

出前授業のご依頼がありました。弁護士になるまで/なってからのお話をしてまいりました。

講和20分,質疑20分を目安にと言われていましたが,これぐらいの時間だとあっという間ですね。

私が弁護士に興味をもったきっかけとか,なぜ地方で仕事をしたいと思うようになったかとか,なってからどんな仕事をしているかとか。

少しでも参考になれば幸いです。

生徒の感想が聞きたいですね。

2020年度 支部交流会

令和3年2月6日,午後1時30分~午後5時,毎年恒例の九弁連支部交流会が開催されました。初のWebセミナーです!

私は同交流会を運営する協議会の委員ですが,今年から事務局長を拝命しています。その意味でも初めての試み。私にとっては上手く運営できるかどうかハラハラドキドキの交流会でした。

結果がどうだったかは参加者の方の感想に委ねるしかありませんが,終了してほっとしています。

今年は,大きく二部構成で企画しました。前半は,近年被災が目立つ九州において,今後,突然の被災にも対応できるよう,勉強の機会を設定しました。この交流会は,支部弁護士が,支部特有の問題に関する議論をし,その後の運動につなげるための会です。被災地に支部弁護士がいることで,どんなメリットが,よいことがあるのか。そんな最前線で活動する弁護士を,弁護士会としてはどんなバックアップをしていくことができるのか。そんな観点から,熊本県・人吉にて被災された,奥村先生,中嶽先生の2人の弁護士からご報告をいただき,熊本地震・人吉豪雨災害など,被災地支援に尽力された鹿瀬島先生からご報告をいただきました。たくさんの写真を見ながら被災の実際を感じるとともに,自身も被災して疲弊する中,それでも最前線で活動する弁護士の姿を目の当たりにすることができました。それをバックアップする弁護士の立場から,支部弁護士が被災地に存在することで,物理的価値,人繋的価値,継続的価値が発揮されるというようなお話をいただき,なるほどと思いました。そこに弁護士がいるだけで価値がある。弁護士が少ない地域で代えがたい役割を担えると思うと,支部での活動に力をもらったような気持ちにもなります。

後半は,裁判のIT化が,支部弁護士に与える影響に関する議論です。最高裁は,IT化が支部の統廃合にはつながらないというものの,事件の本部集約から支部の事件数が減少し,結果統廃合が進むのではという懸念は尽きません。支部の最前線で活動する弁護士としては,「ハコ」(支部の裁判所)があるということは,いわば象徴的な存在として,市民の司法へのアクセスに関する心理面での促進に寄与していると考えています。ハコをなくすのはぜひとも避けてほしい。でも,過去に大きな統廃合がされたように,どんどん支部のハコもなくなっていくのでは…そんな懸念が尽きないでいるものです。あわせて,現在,日弁連で本人訴訟のサポートをやっていく方向性が打ち出されていますが,司法書士会との業際問題などの背景も知ることが出来ました。IT化も本人サポートも,基本的にその方針としては定まってしまっているようなところもあり,どんな制度をつくっていかなければならないのかという点も含めて,引き続き議論を進めていかなければなりません。

不慣れな運営・司会でしたが,少しでも今後の支部弁護士の活動の糧になると幸いです。

来年度以降も,毎年,やっていき(はず)のものですので,引き続きよろしくお願いいたします。

任意後見契約について

最近,任意後見契約に関する相談・公正証書作成の相談が増えています。

任意後見制度は,本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に,将来自己の判断能力が不十分になったときの後見事務の内容と後見する人(任意後見人)を,自ら事前の契約(公正証書)によって決めておく制度です。

その効力は,契約時に発生するのではなく,本人の判断能力が不十分となり家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから始まります。

注意点は,公正証書にしないといけないこと。

①将来に備えて,今は効果が発生しないけど,契約だけしておくという「将来型」

②まだ契約を結ぶ能力はあるが,体調次第ですぐに任意後見監督人の選任が必要というような状態で作成する「即効型」

③能力がある間は委任契約として財産を管理してもらい,認知機能が落ちたら任意後見人として財産を管理してもらう「移行型」

などがあります。

法定後見には原則として任意後見が優先しますが,本人の利益のために特に必要があるときに限り,法定後見開始の審判をすることができます。

①任意後見契約の締結に係る公正証書の作成などの費用,②任意後見人が活動するにあたっての経費・報酬,③任意後見監督人が活動するにあたっての経費・報酬がかかります。②の報酬は契約によって定められ,③の報酬は裁判所が定めます。

任意後見契約に盛り込むべき内容としては,委任者の生活,療養看護または財産の管理に関する事務を委任事務内容にすること,公正証書の契約書を作成すること,任意後見監督人が選任されたときから契約の効力が生ずることなどです。逆に,盛り込めないのは,一身専属権の代理などです。たとえば,遺言や離婚,認知,養子縁組など。遺言は判断能力があるときに本人が別途作成しておくべきです。

任意後見監督人は,①任意後見人の事務を監督する。②任意後見人の事務に関し,家庭裁判所に定期的に報告をする。③急迫の事情がある場合に,任意後見人の代理権の範囲内において,必要な処分をする。④任意後見人またはその代表する者と本人との利益が相反する行為について本人を代表する。という役割があります。

今後もっと利用が増えていきそうですね。

レビュー 元彼の遺言状

新川帆立「元彼の遺言状」

現役の弁護士が著者の,「このミステリーがすごい!」大賞作品。へえ,弁護士って,こういう可能性もあるんですね。

「僕の全遺産は,僕を殺した人に譲る。」という,奇妙奇天烈な遺言をめぐって繰り広げられるミステリー。

まず特徴的なのは,主人公のキャラクター。冒頭で,婚約指輪のチープさにケチをつけるシーンなんか,「えええ!!!」って思ってしまう。そんな高飛車な女性弁護士も,読み進めるうち,いとおしいキャラクターになっていく…かもしれません(笑)。またちょっと系統は違いますが,「リーガル・ハイ」で古美門弁護士に対して「こんな弁護士いねーよ!!」と突っ込みたくなる感覚を,この作品でも覚えました。それだけキャラ立ちしていたということでありましょう。

次に,いかにも法律家が書いたという小ネタ満載なところも特徴的。業務委託契約でつながる弁護士,遺言状の公序良俗違反無効,学者の意見書などなど,法曹関係者が反応しそうな小ネタ満載。【ネタバレ注意】「株式譲渡契約書」のリーガルチェックが,一連の真相を解き明かすカギになっているあたりも,いかにも法律家が書いた作品と思いました。

警察対応とか反社とのかかわりとか,いろいろと法律家だからこそいろいろ書けるのであろう部分が散見されて面白かった。もちろん,法曹関係者以外でも「へぇ~」「そうなんだ」といった形で,楽しく読めるはず。学術的なわけでもなく,あくまで小ネタは小ネタで,不自然に法律論が入り込んでるということはありません。

久しぶりに小説を読みましたが,それほど時間をかけずに,サーっと,楽しく読めました。

全然面識あるわけではないですが,弁護士が著書の本って,とりあえず買って目を通してしまうんですよね。職業病かもしれませんが,この出会いに感謝です。

次回作にも期待しています。

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軽微な交通事故事件への捜査機関対応実務

今月の「月刊交通」では,城先生が,捜査機関の交通事故対応実務について解説しておりましたので,ご紹介します。

軽微な交通業過事件は,警察から検察庁に送致される際に,用いられる書式に違いがあります。基本的には,被害者の負傷の程度によって送致がなされます。

①被害者の受けた傷害の程度が全治3か月を超える

→通常書式

①被害者の受けた傷害の程度が全治3か月以下(被害者が複数の場合は,最も重い傷害の程度が全治3か月以下)の事件

→被疑者を逮捕した場合などの一定の例外に係るものでなければ,通常の書式より簡略な第一種の特例書式によってよい

②それより軽微な交通業過事件で,被害者の受けた傷害の程度が3週間以下の事件

→赤信号無視などの一定の例外に係るものでなければ,さらに簡略な第二種の簡約特例書式によってよい

→この書式によれば,実況見分なども詳細な図面は不要。簡略な図を作成することで足りる。被害者や被疑者の供述調書についても,チェックをつけることで供述内容を示すことができる定型書式を使うことができる。

実際は,第二種簡約特例書式の利用が,他の書式より圧倒的に多い。被害者としては大したけがでもないことから,相手方に処罰を求めようと思うわけではなかったとしても,道交法上の報告義務があるし,自動車保険の関係上も,警察に届け出ないとその手続がなされないという事情があることにもよる。

この第二種簡約特例書式による送致事件は,被害者が処罰を求めていない事案であれば,検察庁において,ほぼ例外なく一律に起訴猶予として処理される。

立法論としては,過失傷害罪と同じく,交通業過事件も,親告罪にしてもよいのではないか。

警備事件については,刑事訴訟法246条ただし書の「微罪処分」として,警察から送致を不要とすることも検討されてよいのではないか。

…なるほどなるほど。捜査実務が詳しくわかって参考になります。民事交通賠償事件も取り扱う弁護士としては,捜査記録においてどれだけ有用な資料が取得でき,民事の交渉・裁判に活かせるかという点が気になりますが,捜査実務を知っていると,より精度の高い見通しを,より早い段階で立てられますね。

発達障がいと犯罪・非行

令和3年1月23日(土)午後5時~7時 @吉富フォー・ユー会館研修室 NPO法人まど 支援者育成セミナー「発達障がいと犯罪・非行」

夫婦で興味関心がある分野であること,知人が主催していることなどから,参加して参りました!

講師は,一般社団法人おかえり基金理事長土井高徳様。

内容はとても興味深いものでしたが,深淵なテーマでしたので,内容を完全に理解できているのかも自信がございません。内容のリマインドではなく,私の感想・備忘的なものとさせていただき,今後も学びを深めていければと思いました。

支援者を悩ます「困った」子どもというのは,適切な理解と支援がないために実は「困っている」子どもたち,という指摘ははっとさせられました。ともすれば,支援者目線で上からの目線になってしまいがちのようにも思いますが,子どもの目線での捉え方をしっかり頭に置いておく必要があると思いました。

発達障害(生まれつきの脳機能の発達のかたよりによる障害。),愛着障害(不適切な養育(虐待)や養育者の一貫性を欠く養育により,深刻な対人不信に陥るなど適切な人間関係を維持することが困難になり感情統制が取れなくなる。),解離(虐待などを原因として直面化しなければならない場面で,心のスイッチを切って乗り切ろうとする自己防衛機能。)という3つの概念を整理しました。なるほど,視点が広がった気がします。

実際に発達障害の子どもとかかわるにはどうしたらよいか。説教するよりしっかりおなかを充たしてあげる。いつまでもいていいんだよ,安心して生活できる場を提供してあげる。いつでも帰ってきていいんだよ,一歩進んで二歩下がるような,ぐるぐるまわるような前進でも,決して見捨てず,子どもによりそっていく。実際に講師が取り組んできた内容のお話を聴いて,なるほどと思いました。安全感のある毎日を保障し,一貫性・継続性のある応答をする。相互性を活かしたたすけあい・支え合いの関係を構築する。すべてを理解できたかはわかりませんが,対応の基本的な視座を得ることができた想いです。

犯罪・非行に走ってしまう,困難を抱える子供にどう対応するか。時間とともに成熟するのを待つ。右肩上がりの回復ではなく,行きつ戻りつの円環的な回復を認め,「支援者の方が自分の感覚で成長を促す」のではなく,「子どもの成長を横に並んで一緒に歩んでいく」姿勢が必要。クスリの処方よりも関係性の処方。ちょっとずつちょっとずつ,できたこと,できるようになったことに目を向ける。ゆっくりじっくり根気強く対応していくことが必要だと感じました。

講師のことばのなかで特に印象に残ったのは,以下の「7つの魔法の言葉」。子どもの心を転換させる言葉として紹介されました。

1 共感 …「ああ,つらいんだね。」

2 愛着 …「ああ,そのままでいいよ。」

3 慰労 …「よくがんばってきたね。」

4 感謝 …「ありがとう。」

5 同意 …「そうなんだ。」

6 安心 …「だいじょうぶだよ。」

7 尊敬 …「きみって,すごい。」

ひらがなの,短い言葉ですが,きれいな日本語であり,かつ,1つ1つにとても深みのある言葉と思います。普段の生活の中で,改めて意識的に利用していきたいと思える言葉です。支援に限らず,子育て全般にも利用したいことばがけではないかと思います。

最後に。講師の方もおっしゃってましたが,「今日はいいこと聞いた。」と思っても,人間すぐに,どんどん,忘れていく。引き続き勉強を深め,今後の活動にいかしていけるよう,益々精進していきたいと,決意を新たにいたしました。

その決意のあらわれとして,現地販売の書籍をすべてゲット。講師の方からのありがたいお言葉もいただきました。まずはここから,学びを深めてまいります。

各書籍、目を通すことができたものから,またレビューを書いていきたいと思います。乞うご期待(?)。

今回は,犯罪・非行などが認められる発達障害の方へのアプローチについてのお話でしたが,そもそも,我々が当人にお会いした時,どうやったら発達障害と「気づけるか」というテーマでのお話もお聞きしたいと思いました。引き続き学びを深めてまいります。

企画・主催いただいたNPO法人まどの皆さま,有意義な時間をありがとうございました。

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2020年度 豊前市内企業人権研修会

令和3年1月21日午後2時~

2020年度豊前市内企業人権研修会が開催されました!

コロナ禍ではございますが,ソーシャルディスタンスを保持して,検温や手指消毒など,感染症予防対策もばっちり。

内容も,大変勉強になりました。

ここ2年ほどは,私が連続して講師依頼をいただいておりました。しかし,あまり同じ弁護士の話ばかりだと凝り固まってしまうかなと思って,今年度は,別の弁護士に話をしていただくのはどうかと提案しておりましたところ,同期の松﨑広太郎先生が快くお引き受けいただき,豊前に新しい風を入れていただけました。

研修内容は,メンタルヘルス従業員への対応。きわめて実践的で,非常に勉強になりました。毎年松﨑先生でいいんじゃないかとも思いました(笑)。

精神疾患対応の要は,求職時,復職時,解雇時など,重要な局面で医師の診断に基づいた判断を下すことというアドバイス。そのとおりですね。具体的な事例をもとに,大変わかりやすく,楽しく勉強することが出来ました。

就業規則は休職と試用期間の定めをしっかりすべきとか,試用期間の延長の定めを入れておくと柔軟な対応ができるとか,実務的なお話もなるほどと思いました。

私は割と同業の弁護士の講演会なども聴きに行くようにしていますが,他の弁護士がどんな工夫をしているかは,自分が研修・講演・セミナーをするときにも参考になりますね。今回の松﨑先生の講演内容も(パクったと訴えられない程度に)参考にさせていただきたいと思っています。

地域で相談を受けての実感。正直に申し上げて,会社側から「社員が精神疾患にかかってとても仕事にならないから,解雇したい」的な相談は,あまり受けた記憶がありません。精神疾患にかかってしまったという労働者の相談はないわけではないですが,どちらかというと,会社を辞めた後の生活をどうするかとか,仕事ができなくて支払いができなくて困っているといった債務整理の相談が多いです。会社から不当に解雇されたというような相談はあまり記憶になく,おそらく,会社は会社で優しく退職勧奨し,労働者は労働者でお世話になった会社に迷惑かけたくないと退職しているようなケースが多いのではないかと思います。相談で見せていただく資料としても,解雇理由証明書などはほとんど見たことがなく,退職届がほとんどです。私の経験だけなので偏りがあって一般化はできませんが,福岡市で仕事をしていたときに比べると,解雇紛争は圧倒的に少ないような感覚はもっています(残業代請求は多少ありますが。)。

今回のメンタルヘルス対応についても,事前に紛争が予防できるように,後々のことまで頭に入れて,遡って適切な対応ができるようになるとよいですね。予防のためにも非常に参考になる内容でしたので。

今回は,業務起因性のない,私傷病としての精神疾患を取り扱いましたが,今度は業務に起因する精神疾患(労災含む)の内容を聞いてみたいと思いました。

研修の内容面ではないですが,細かく質問の時間をとって,たくさん質問が飛び交っていました。これにも的確に答えており,さすがだなと思いました。私も真似しようと思ったところです。そのときそのときに質問していただいた方が,質問する側としても,タイミングを逃さなくていいですよね。レジュメと話がマッチしていてわかりやすかったですし(私の場合,弁護士なりたての頃ではありますが,レジュメの内容の肉付けや書いてあるもの以外の話(付加価値)を付けた方がよいのかなと思って話していると,どこを見て聞いたらいいのかわからなくて困ったと指摘されたことがあります。聞いてる方がわかりやすく話さないといけませんね。),分量も多すぎず少なすぎず良かったと思います。

こういう時勢で,豊前市をご案内できなかったのは残念ですが,それはまたの機会にといたしたいと思います。松﨑先生,久留米から遠路はるばる,ありがとうございました。

阿蘇ひまわり基金法律事務所定着式 & シンポジウム「熊本ひまわり公設事務所の歩み」

令和3年1月15日,阿蘇ひまわり基金法律事務所定着式に参加しました!

阿蘇で6年間も地域のために活躍された森あい先生が,ついに定着。熊本の先生方はじめとして,熱烈に歓迎(定着なので,表現がおかしいでしょうか?)されているのが伝わってきました。

私は熊本大学に通って勉強した4年間,熊本で過ごしました。生意気にも普通二輪車を購入して走り回っておりましたので,当時もいろいろなところに行きました。ツーリングで阿蘇にもよく行っていました。大観峰の景色は絶景でしたし,ファームランドでの思い出もあります。熊粋祭(ゆうすいさい)の際は,遠歩(阿蘇のてっぺんから大学までひたすら歩く伝統行事。)の思い出もあります。

そんなことを思い出しながら聞いておりましたが,阿蘇は災害のあおりを受けたり,人口密度が薄かったりと,定着は難しいのではないかと考えられていたようです。「よく決断してくれた!」と喜びの言葉が飛び交っていました。

本当におめでとうございます!

その後にシンポジウムにて,熊本の公設の歩みを勉強させていただきました。

牛深から熊本中心地に何度も足を運んで相談に来ている方を見て,過疎偏在問題に取り組まないといけないと思ったというお話など,興味深いお話もうかがえました。

来月,支部交流会という,年に1度の,支部特有の問題を取り扱う交流会を執り行います。今年度から,私が事務局長を拝命しておりますので,しっかりと有意義な会となるように活動していきたいと思っています。

レビュー 白い巨塔 1978

田宮二郎主演「白い巨塔」(1978~1979)

先般,2003年版(唐沢寿明主演)や2019年版(岡田准一)についてのコメントをしましたが,今回は1978年版。

古いと言えば古いですが,映像で魅せる形のものではなく,人間ドラマがメインですので,新しいものに見劣りしない出来栄えだと思います。

1978年版,田宮二郎が演じる財前五郎は,名誉心が強く,それがわかりやすく表に出るタイプのキャラクターです(唐沢さんはポーカーフェイスが強いタイプ,岡田さんは二枚目タイプのように思います。)。「登り詰めたい」という欲望がわかりやすく前に出てくるようなキャラクターで,そこがなんとも魅力的です。それでいて強くお母さん想いだったり,時々弱さを見せたりと,そのギャップも素晴らしいです。

内容的には,他と比較しておそらくかなり長時間のドラマですので,特に医療裁判編はボリュームたっぷりで見どころがあります。ただ,ラストで財前の癌がわかってからのドラマのボリュームは最近のものの方が長くて深かったように思います。1978年版は最後まで誰も本人に癌の告知をしませんが,いまではインフォームドコンセントの観点から問題があるのではないでしょうか。劇中でも「やっぱり告げておくべきではなかったかな」という発言も出てきます。

手続上の比較。1978年版は,里見・柳原の対質尋問,財前・柳原の対質尋問の両方があります。新しい2003年版,2019年版はカルテの改ざんが出てきますが,1978年版はカルテの話は出てきません。2003年版では改ざんされた紙カルテの証拠保全がされましたが,1978年版は死亡した患者の異の標本を証拠保全します。病理検索するためにですね。弁護活動の比較をするのも面白い。

弁護士のキャラクターにも作品ごとの特徴があります。1978年版は原告代理人が正義感あふれるキレ者の弁護士。「実費だけもらえれば」なんて,私には真似できそうにありません。私が1番好きなのは2003年版の弁護士。医療裁判に負け続けて腐りかけ,最初は高額な着手金ほしさに依頼を受けるが,次第にこの医療裁判にのめり込んでいく。弁護士の成長ストーリー的な部分が非常に見どころあります。2019年版はやや抜けているところのある弁護士が活躍するといった感じですが,弁護活動がそれほど丁寧に描かれていないように感じます。特に法廷以外の描写について。

被告代理人については,2003年,2019年などについては,少なくとも財前が虚偽供述をしているとは思わず,依頼者を信じて闘っているという点で,許容できる弁護活動と思いましたが,1978年版はひどい。あれは虚偽供述とわかってながら,医局員にその裏付けのための供述を記憶喚起するように求めたり,弁護士自身がお金をもって証人に接触したり(2019年版は主に財前又一の接触)…まるで悪代官のようです。

こうしたところを比較していくところも面白いと思います。

弁護士の視点で,手続き的な部分,弁護士の活動などについて,比較をしてみました。ご参考いただけますと幸いです。