私(西村幸太郎)の一連のブログ記事です。私がどういう人間なのか、どういう活動をしているのか、どんなことを考えているのか、どんな知識やスキルを持っているのか、信頼に足る弁護士か、などなど、たくさんの疑問をお持ちの方もおられると思います。そのような方々は、是非こちらの記事を御覧ください。

ボクはやっと認知症のことがわかった レビュー

長谷川和夫「ボクはやっと認知症のことがわかった」

あの「長谷川式スケール」の長谷川さんです。有吉佐和子「恍惚の人」が社会問題を引き起こした頃,長谷川さんは一所懸命に,簡易的に認知症かどうかがわかるテストの開発に明け暮れていたようです。長谷川式スケール開発秘話というのも面白かったですし,これまでの認知症の歴史がよくわかりました。認知症とは何かという本質論について,長谷川さんは,「暮らしの障害」だと言います。「認知症になったからといって,人が急に変わるわけではない。自分が住んでいる世界は昔もいまも連続してるし,昨日から今日へと自分自身は続いている」という言葉も含蓄がある。目に見えない,わかりにくい障害について,第一人者として,自分自身が1人の認知症患者として,淡々と,しかし力強く,考えと想いをつづった一冊と思いました。福祉関係者必読の一冊。

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“相続”と“争族”のはなし 税理士セミナー

令和2年2月5日午前10時30分~@みやこホテル,明治安田生命主催の相続セミナーがありました。講師は,豊前市で活躍する高野秀紹税理士です。実務的なお話も多く,要所要所で笑いもとっており,内容的にもセミナーとしても参考になりました。

いわゆる名義預金は税務署の重点調査項目とされていること(調べやすいから)などの話は面白かったですね。

生命保険会社のセミナーですから,保険を使った対策もいろいろとアピール。生命保険料の贈与による相続対策,代償交付金を生命保険金を利用して用意,借金が多い場合も相続放棄しつつ生命保険金を受領,などなど,勉強になりました。

画期的な新商品も開発したとか。相続税対策としてよく使われる年々の生前贈与を,保険を利用して年々保険金を受領するような形にできる商品。私も,適切な事案では,利用してプランニングをしていきたいと思いました。

相続プランニング

MDRT/CFPさんと協力して,相続対策に取り組んでいます。

相続対策というと,主に税金対策を思い浮かべますね。私は,相続対策は,大きく,

【相続税額を少なくする対策】

1-1:被相続人の財産を(合理的に)減らす

1-2:財産の評価を(合理的に)下げる

【払うのは仕方がないとして,納税資金をキャッシュで確保する対策】

2:被相続人死亡時にキャッシュですぐにお金が入るようにする

という対策になります,と説明しています。あまり難しくしてもわからないので,これくらいで押さえておけばよいのではないでしょうか。

1-1の財産を減らすというのは,贈与税がかからない年間110万円の限度での生前贈与などが代表的ですね。

1-2は不動産や非上場株など,評価に争いがあるものについて,タイミングを見計らってうまくやれば対策できることもあるようです。

2の典型的な方法は生命保険(死亡保険)を利用する方法。死亡保険金は,例外を除き遺産ではない(受取人固有の財産)と解されるため,受取人が請求手続さえとれば,面倒な遺産分割協議や調停をしなくとも,キャッシュがすぐに手に入ります。10か月以内の相続税申告の強い味方です。うまく使えば。

1-1につき,死亡保険がある場合,その受取人に注意。保険金はみなし遺産にはなりますので,受取人が相続人の場合,その相続人に多額の贈与税がかからないか?なども検討する必要があります。

たくさん保険をお持ちの方については、たくさんありすぎて,いざ保険金の受け取りを請求する手続が面倒と思われる方もいます(各会社に,必要書類の原本を用意して請求しないといけないと思われます。たくさんあると手間です。)。2の対策に逆行するような傾向です。同じような保険があれば,まとめてあげた方がよいかもしれません。無告知型の保険(病気の告知が要らない保険)をうまく使った対策もできます。この保険は,相続対策には便利なように思います。

いま話題のかんぽ生命にも注意。よく見たら,自分が考えたとおりの内容になってない場合もあります(孫にお金を渡そうと思って入ったのに,受取人ではなく被保険者が孫になっている場合など。先般,新聞でも報道されてました。)。その他,告知義務違反が疑われる保険などにも注意。全体的にチェックしていきます。

つらつらと書きましたが,保険,遺言など,複数の方法を横断的に検討して対策するのは,大変で難しいことですが,とてもやりがいのあることでもあります。事前に相続対策をしたいという方,ぜひご相談いただけますと幸いです。

行橋に成年後見センター

本日の西日本新聞・21面・京築版「行橋に成年後見センター」

豊前市の第一審の裁判所管轄は,行橋市にある福岡地方・家庭裁判行橋支部になります。成年後見の関係は,ここの家裁で取り扱われることになります。

記事によると,行橋市,苅田町,みやこ町の方々が利用できる県内初の広域連携のセンターができるそうです。令和2年7月,ウィズ行橋内。1市2町の成年後見の利用率は2.7%にとどまっており,手続支援・相談・啓発活動に取り組むとのことです。

統計からわかるとおり,同制度の利用は低調のようです。どこの地域でも同じでしょう。制度の使いにくさや周囲の者の反発なども指摘されていますが,「判断能力の低下した者を支援する,守る」というような理念が浸透しておらず,本人に生じる制限や家庭への第三者の介入といったマイナスに捉えかねられない部分が強調されてしまっているという現実もあるのかもしれません。

本当に必要がなければ,利用しなくてよいでしょうが,これだけの高齢社会でニーズがないとも思われませんので,このセンターの開設で窓口が普及し,理念の浸透が進み,成年後見等制度が適切に利用されていくことを期待したいです。

もちろん,我々も,適切に業務を遂行し,翻って啓発活動もできるよう,力を尽くしていきます。

オレンジリング取得しました!

オレンジリングは,認知症サポーターの証です。「認知症の人を応援します。」という目印になります。なにか特別なことをするわけではありませんが,「応援者」としてできることをしていきます。

私が活動する豊築エリアや大分県北部(中津市,宇佐市,豊後高田市など)も,少子高齢化の波が押し寄せてきています。豊前市は,高齢者が約4割ともいわれており,それに伴い,認知症の問題は大きな問題と言えましょう。研修のなかでも,大分県の高齢者の5人に1人は認知症高齢者であるという統計の紹介がありました。仕事柄,後見事件や相続関係事件(遺言能力が問題になる場合など),交通事故事件(後遺障害など)で認知症に触れ合う機会も多く,お客様も相応にご高齢の方もいらっしゃることなどから,認知症サポーターとして研修を受け,実務に活かしていきたいと考えておりました。今回,その願いがかなったので,これからの実務に活かしていきます。

研修の中では,約90分にわたり,「99歳 母と暮らせば」という映画を鑑賞いたしました。二男による99歳の母の介護生活を淡々と描いたものです。ナレーションは入りますが,最低限の説明や内心の想いを言葉にしているだけで,解説や説明などの描写はほとんどなく,淡々と生活風景を描いている作品でした。それだけに,ああ,こんな介護生活もあるのだなと感心したものでした。二男さんは,明るい母のおかげで介護も苦にならない旨を述べていましたが,かなり献身的に介護しているように見えましたので,要は心の持ちようなのかなとも感じました。周囲が温かく見守る,応援するという介護生活,あたたかな社会と言うのはこういうものなのだろうとイメージもわきました。大変参考になりました。

認知症と言うのは,はたで見てもよくわからないものです。介護専門職ではありませんが,事件の中で実際にかかわってみても,益々そのような思いを深めています。自分もいつかはなってしまうかもしれない認知症,私も認知症患者の方を温かく見守れるようになりたいですし,これを法律実務のなかでも生かしていきたいと思っています。 enter image description here

「相続道の歩き方」

弁護士 中村真先生 「相続道の歩き方」

特徴的なイラストで有名な,現役の弁護士による,相続の解説書です。たくさんのイラストに目を奪われ,それだけでも楽しめるのですが,本文の内容は,かなり高度で細かな内容も記述されています。

全体的な感想としては,民法の教科書的な並びでもなく,実務のフローにあわせた流れというわけでもなく,独自の視点で相続法を整理して記述したもののように思われ,まずはその体系的描写が斬新だと思いました。内容的には,もちろん実務的に役立つ描写は満載なのですが,どちらかというと概念整理,概念の深掘りなどをしっかりしている書籍ではないかと思われ,改めて頭の中を整理するのに最適な書籍ではないかと思われました。

「特定遺贈と包括遺贈を区別する必要性はどこにあるか」(包括遺贈の場合,相続人でない受遺者も相続人と同じ扱いを受け(民法990条),包括遺贈の放棄も相続放棄の手続に従うなどしなければならない。),「法定相続情報証明制度の活用」,「相続で引き継がれる財産には,財産法上の法的地位なども含まれる」(本人の無権代理人相続と,無権代理人の本人相続),「生命保険金の受領は,判例上特別受益に該当する場合があるが,その場合に,持戻しの範囲をどう考えるかは別の問題」(被相続人が払った保険料額の総額説,被相続人死亡時の解約返戻金相当額説,総保険料額に対する被相続人が死亡時に支払った保険料総額の割合を保険金額に乗じた額説など。),「相続前における遺留分の放棄は,家裁の許可の上で一応認められているが,裁判例上,遺留分放棄者が,遺留分権利者の自由な意思に基づくものであるかどうか,その理由が合理性もしくは田労政,必要性ないし代償性を具備しているかどうかを考慮すべきとされている。」………

などなど,いろいろと知識・理解を深めていくことが出来ました。

入門書としては,やや難しいかな?という気もしますが,イラストの楽しさと相俟って,サクサク読めるだろうと思いますので,幅広い層の方におすすめの一冊です。

相続に特化したページを公開しました。

先般,相続に特化したページを公開しました。

まちの相続相談所

家事事件は一般的に増加傾向と言われますが,幣所の実感としても,特にここ最近,相続に関するご相談が顕著に増加しております。

ご依頼者様への参考にもしていただけると思いますし,同業者に参考にしていただくことも可能な水準で,記事を執筆しているつもりです。

ご相談のアクセスを容易にするための取り組みの一環ではありますが,今回は,あえて相談地域を限定する形でアンケート機能をつけました。地元地域のために尽力する弁護士ですので,他の地域の弁護士が十分対応できる場合は,私が対応する必要はないだろうという考えです。

今後とも,どうぞよろしくお願いいたします。

葬儀費用の取扱いについて

相続のご相談の際,必ずと言ってよいほど出てくるのが,「葬儀費用を●●が出した,出してない」という問題です。少しコメントしてみます。

まず,法理論的には,厳密に言うと,葬儀費用の問題は,相続・遺産分割とは別の問題ということに注意してください。相続というのは,被相続人の死亡により発生するものですが,葬儀費用は,被相続人死亡後に発生するもので,相続債務ではありません。さらに,葬儀会社との関係では,契約をした人が債務を負担します。問題は,「最終的な」費用負担者は誰かということです。

喪主が負担すべきという説,相続人が法定相続分で負担すべきという説など,複数の説が対立しており,確定した最高裁判例はありません。 近時は喪主負担説が強くなっていると言われますが,経験上,遺産分割調停では,法定相続分で負担するという処理もよく見られます。遺産分割で,葬儀費用を法定相続分で負担すると不公平だと感じられるような分け方をした際に,端的にいうと長男が優遇して遺産をもらっているような場合に,香典ももらってるんだから,葬儀費用ぐらい負担してよということで,争いになることが多いから,喪主(多くは長男などでしょう。)負担とされることが多いのかもしれませんね。

以前,私のところに,セカンドオピニオンを求めて相談に来られた方から,「前の弁護士から,葬儀費用は喪主が負担すると決まってると言われた。」と述べていた方がいましたが,決まっているわけではないですし,個別事案に応じて妥当な解決を図っているというのが実情ではないでしょうか。

香典は,被相続人の死後に,遺族へ贈与されたものと理解しますが,通常,香典から香典返しを差し引いた金額を,葬儀費用に充当するということになるでしょう。

(葬儀費用-香典+香典返し)÷相続分=各人の負担額

という形で,解決を図っても良いのではないでしょうか(特に調停)。

負担するのはよいが,金額が高すぎるというときもあります。妥当な金額として合意できる範囲で相続人で負担して,それを超える部分は,葬儀を契約した人(喪主)が負担するという解決も,一考ですね。

なお,ここでいう葬儀費用とは,遺体搬送費・葬儀会社への支払・葬儀場への賃料・お布施・火葬費用などです。これらに付随する通夜・告別式の接待用飲食代,初七日の費用,四十九日の費用は微妙で,葬儀費用に含めるかどうか争いがあります。

葬儀後の弔問客の接待費用,一周忌,三周忌,墓地の取得費,仏壇購入費などは,祭祀承継者としての義務なので,葬儀費用ではありません。

領収書のないものはどうしましょうか。あるに越したことはないですが,こと葬儀に関して言うと,性質上,慣習上,そもそも領収書の発行がないということも結構あります。裁判例も,そのような実情を踏まえ,葬儀の実施そのものを疑うなど特段の事情がない限り,領収書などの資料がなかったとしても,葬儀を実施する以上,社会通念に照らし相当な額が経費として生じたことが推認されるとしたものがあります(大阪高判H27.7.9)。

遺体・遺骨は,葬儀とはまた別に考え,祭祀財産に準じて扱い,祭祀承継者が引き継ぐことになるでしょう。

祭祀承継者をどのように決めるか。被相続人の指定があればその指定に従います。指定がなければ監修に従うとされてますが,実際は慣習に従って定められた審判例はほとんどないようです。最終的には審判で祭祀承継者を決めますが,その際は,①被相続人との親密性と,②被相続人の生前の意思を判断基準にします。

紛争の予防についてですが,祭祀承継者は,遺言で指定ができますので,遺言を作成することを検討してみましょう。

葬儀費用については,保険や共済で,死後の葬儀費用に相当する金員を喪主にすぐに一括で支払うという内容の商品があるようで,実際に,依頼者のなかには,複数名,これを利用して備えている方がおられました。

葬儀費用の対策(?)としてよく言われるのが,「死亡後に凍結される前に引き出せ!」というテクニック(?)ですが,これも使途不明金問題等を誘発する危険がありますから,保険や共済を利用する方法がおすすめですね。

相続の相談が多いことから,近日中,相続に特化したHPを作成する予定です。こちらもご参照ください。

「押し買い」で宝石を失った

平成30年12月12日の西日本新聞に,私が書いた記事が掲載されていますので紹介します。コラム・ほう!な話です。

国民生活センターの最近の被害の情報を意識して,いまだ被害のある訪問購入について記事にしてみたものです。以前,訪問販売についても記事を書き,私も事件・訴訟で取り扱ったことがありますが,クーリングオフは無理由解除できる点で非常にすぐれた制度ですから,ぜひご活用いただければと思います。

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「押し買い」で宝石を失った

 Q 1人暮らしの祖母が、「不要品を買い取る」と言って訪問してきた業者に、形見として大切にしていた宝石や貴金属を5万円で買い取られました。翌日、祖母が業者に電話し、宝石を返してと訴えましたが「もう遅い。クーリングオフはできない」と言われました。宝石を取り戻せませんか。

A 「押し買い」とも呼ばれる訪問購入の事案です。1人暮らしの女性や高齢者を中心に、考える余裕を与えず、高価なものが買い取られる被害が多発し、特定商取引法が改正され規制対象になりました。

 買い取る際、業者は業者名や物品の種類、特徴、価格などを記した書面を交付しなければいけません。消費者は書面を渡された日から8日以内であれば、クーリングオフで契約を解除して物品を取り戻すことができます。「クーリングオフはできない」などと事実と異なることを告げられたり、すごまれたりして、クーリングオフを妨害された場合は、8日を過ぎても可能です。

 ご相談のケースは、そもそも書面を受け取っていないようですから、クーリングオフができるでしょう。仮に書面を受け取っていても、法律上細かく決められた事柄が全て記されていないなど、書面に不備がある場合もクーリングオフが可能です。正しい書面を受け取っていたとしても、「クーリングオフはできない」とうそを言っているので、やはり可能です。

 各地の消費生活センターや弁護士会などにも相談して対応を考えましょう。(西村幸太郎)

リフォーム工事トラブル

判断能力の乏しい高齢者等を対象として,訪問販売により執拗な勧誘を行い,不安をあおる言動や虚偽説明によって,必要のないリフォーム工事契約を締結させること等を特徴とする商法が,近年増加傾向にあります。

判断能力の乏しい高齢者,周囲にすぐに相談できる家族がいない一人暮らしの高齢者等を相手にするという特徴があります。さらに,不安をあおって強引に契約を締結させようとすることから,消費者側において,工事の必要性や契約内容を吟味せず,十分に理解できないままに契約をさせられてしまうこともあります。虚偽説明,詐欺的な勧誘等にも気を付けなければなりません。

その他,工事代金が不当に高額なケース,業者の技量不足や怠慢により極めて杜撰な工事しか行われないケースも多いです。

こうした消費者被害について,見守りなどによる予防の大切さは言うまでもありませんが,今回は,事後的に,どのような救済があり得るかを考えてみます。

まず,契約を解消することにより,代金を取り戻すなどして,救済を図る方向性があり得ます。特商法9条により,クーリングオフを検討します。訪問販売の場合,法定書面の交付から8日以内であれば,クーリングオフができます。法定書面が交付されているか,書面に不備がないかをしっかりチェックします。悪質な業者は,中途半端な書面を交付するのみで,法定事項をきちんと書いていないときもありますので,諦めずに検討します。

また,このような事案では,不実告知が認められることも多いですので,消費者契約法による取消しも検討できます。特商法9条の3による取消しも検討できます。

民法の意思表示規定に基づく取消し・無効,すなわち,詐欺取消し・錯誤無効も検討できるかもしれません(民法95条,96条)。

あまりに工事代金が高額である場合,暴利行為として,公序良俗違反の構成も検討してみましょう(民法90条)。

一連の勧誘行為が詐欺的だと評価できる場合,消費者が,業者に対し,不法行為に基づく損害賠償ができないか,検討の余地があります(民法709条)。

業者の工事が杜撰だという場合,債務不履行責任(民法415条)又は不法行為に基づく損害賠償責任を検討します。ただし,工事が一応の完成をしている場合,請負人の瑕疵担保責任(民法634条)の追及となる場合もあります。建物自体の損傷や,雨漏りの発生やその効果として損害が広がった場合などが例として挙げられます。

さまざまな法律構成が考えられるため,対処ができないわけではないですが,勝訴可能性とは別に,回収可能性も考慮しなければならないのが,消費者被害の難しいところです。弁護士費用の負担も考えると,ペイしない事案などは,やはり悩ましいですね。

そのような事態が避けられるよう,ひるがえって,法教育の浸透,地域ぐるみの見守りなどで,事前に予防ができるようになると,よいですね。

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特定商取引法

(訪問販売における契約の申込みの撤回等)

第9条 販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において商品若しくは特定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客から商品若しくは特定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において商品若しくは特定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合(営業所等において申込みを受け、営業所等以外の場所において売買契約又は役務提供契約を締結した場合を除く。)若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客と商品若しくは特定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合におけるその購入者若しくは役務の提供を受ける者(以下この条から第九条の三までにおいて「申込者等」という。)は、書面によりその売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又はその売買契約若しくは役務提供契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、申込者等が第五条の書面を受領した日(その日前に第四条の書面を受領した場合にあつては、その書面を受領した日)から起算して八日を経過した場合(申込者等が、販売業者若しくは役務提供事業者が第六条第一項の規定に違反して申込みの撤回等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでに申込みの撤回等を行わなかつた場合には、当該申込者等が、当該販売業者又は当該役務提供事業者が主務省令で定めるところにより当該売買契約又は当該役務提供契約の申込みの撤回等を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して八日を経過した場合)においては、この限りでない

2 申込みの撤回等は、当該申込みの撤回等に係る書面を発した時に、その効力を生ずる。

3 申込みの撤回等があつた場合においては、販売業者又は役務提供事業者は、その申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。

4 申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡し又は権利の移転が既にされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、販売業者の負担とする。

5 販売業者又は役務提供事業者は、商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約につき申込みの撤回等があつた場合には、既に当該売買契約に基づき引き渡された商品が使用され若しくは当該権利が行使され又は当該役務提供契約に基づき役務が提供されたときにおいても、申込者等に対し、当該商品の使用により得られた利益若しくは当該権利の行使により得られた利益に相当する金銭又は当該役務提供契約に係る役務の対価その他の金銭の支払を請求することができない。

6 役務提供事業者は、役務提供契約につき申込みの撤回等があつた場合において、当該役務提供契約に関連して金銭を受領しているときは、申込者等に対し、速やかに、これを返還しなければならない

7 役務提供契約又は特定権利の売買契約の申込者等は、その役務提供契約又は売買契約につき申込みの撤回等を行つた場合において、当該役務提供契約又は当該特定権利に係る役務の提供に伴い申込者等の土地又は建物その他の工作物の現状が変更されたときは、当該役務提供事業者又は当該特定権利の販売業者に対し、その原状回復に必要な措置を無償で講ずることを請求することができる

8 前各項の規定に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。

第9条の3 申込者等は、販売業者又は役務提供事業者が訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするに際し次の各号に掲げる行為をしたことにより、当該各号に定める誤認をし、それによつて当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

一 第六条第一項の規定に違反して不実のことを告げる行為 当該告げられた内容が事実であるとの誤認

二 第六条第二項の規定に違反して故意に事実を告げない行為 当該事実が存在しないとの誤認

2 前項の規定による訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもつて善意の第三者に対抗することができない。

3 第一項の規定は、同項に規定する訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示に対する民法(明治二十九年法律第八十九号)第九十六条の規定の適用を妨げるものと解してはならない。

4 第一項の規定による取消権は、追認をすることができる時から一年間行わないときは、時効によつて消滅する。当該売買契約又は当該役務提供契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする

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消費者契約法

(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)

第4条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

一 重要事項について事実と異なることを告げること

 当該告げられた内容が事実であるとの誤認

二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供****すること

 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認

2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。

3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。

二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。

4 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの分量、回数又は期間(以下この項において「分量等」という。)が当該消費者にとっての通常の分量等(消費者契約の目的となるものの内容及び取引条件並びに事業者がその締結について勧誘をする際の消費者の生活の状況及びこれについての当該消費者の認識に照らして当該消費者契約の目的となるものの分量等として通常想定される分量等をいう。以下この項において同じ。)を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、消費者が既に当該消費者契約の目的となるものと同種のものを目的とする消費者契約(以下この項において「同種契約」という。)を締結し、当該同種契約の目的となるものの分量等と当該消費者契約の目的となるものの分量等とを合算した分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときも、同様とする。

5 第一項第一号及び第二項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項(同項の場合にあっては、第三号に掲げるものを除く。)をいう。

一 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの

二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの

三 前二号に掲げるもののほか、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事情

6 第一項から第四項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもって善意の第三者に対抗することができない。